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巨大な積乱雲
『ミシ、ビキッ、バキッ』
艦体からいろんな音が聞こえてくる。
もう限界か?
このまま気流の渦に巻き込まれ、バラバラに粉砕されるかと思っていた時、視界の景色が変わった。
周りが竜巻のような激しい気流、そしてカミナリの放電による眩しい白い光一色から無風空間へ出た。
どうやら気流の壁を抜ける事に成功したらしい。
目の前には道を示すかのように、両脇を等間隔でカミナリが定期的に落ちていた。
まるで上の黒い雲と下の黒い雲を支えている柱のように見えた。
その先にはブラックホールを連想させるような渦が巻いていた。
これが天竜族の棲む場所への入口だろうか?
空間戦艦は動力も無いのに、ブラックホールの方へと引っ張られていた。
そう、まるで誰かが呼んでいるかのように。
艦は今にも壊れそうで、今はサフラン王子の指示で応急処置を急いでいるが、兵士達も怪我人が多数出ていたので、動ける人間は少ないだろう。
僕も何が起きても大丈夫なように、空中戦艦を覆っている風の膜を補強していた。





