巨大な積乱雲
「医療班!怪我した者を保護せよ!
また、衝撃が来るぞ!
衝撃に備えよ」
サフラン王子が叫んでいたが、この衝撃をどうやって備えよと言っているだ。
立っている事も出来ないし、何かに掴まっていたとしても強い衝撃で兵士達は掴まっていられずに、至る所で吹き飛んでいた。
そして壁に当たる間隔が短くなってきた。
いよいよ気流の流れの最後だろうか?
最後は全て壁の中に吸い込まれ、壁の中の速い気流に取り込まれ消えていく。
外からの異物は、この壁に遮られて消えていくのだろう。
空中戦艦がこの壁に耐えられるのか?
それとも粉々になって消えていくのか?
気流の壁に何回ぶつかっただろうか。
気流の壁の中に何かが見えた。
あれは…、木片が壁の中で流れているのが見えた。
先程、巻き込まれた飛行艇の一部だろう。
何故、木片が?
普通なら壁を通過する時、速さの違う流れの為、粉々に砕け散り流されて行くはずなのに、この艦と同じ速さで壁の中を流れている。
もしかして、あの木片が流れている場所は、他の所と比べて流れが緩いのか?
これは賭けかも知れないが、このまま流れに流されて壁に突入するよりかは、流れの緩そうな所を目指した方が壁を抜ける確率は高いのではないのか?
一か八か、艦に風を当てて無理やり方向を変えて突破を図るか?
だが、失敗すれば粉々になった飛行艇と同じ運命を辿るだろう。
そんな決断を一人では出来なかったので、サフラン王子に相談する事にした。





