971/1026
巨大な積乱雲
空中戦艦が少しずつ流れの速い気流の渦の方へと吸い寄せられる。
このままだと先程の飛行艇のように壁にぶつかり、粉々に砕けながら壁の中に吸い込まれて行く光景が思い浮かんでしまう。
舵も効かない、出力を全開にしても脱出出来ない。
今はもうサフラン王子も兵士達も成すすべもなく、壁の向こう側の渦の流れを見つめていた。
そして艦に一度強い衝撃が走った。
『ドォーーーーーン』
ついに気流の壁にぶつかり、艦は少し弾き飛ばされた。
その衝撃で艦の中にいた人達は全員、倒れ込んでしまった。
反対側の壁まで、面白いように転がって行く者、瞬間的な衝撃の為にムチウチになる者、物が当たり怪我する物など多数発生した。
「被害を連絡しろ!」
「イエッサー」
そう言っている間に、また気流の壁の方に引き寄せられ二度目の衝撃が走っていた。
二度目という事もあって、倒れたり転がらないように近くの物に掴まって耐える者もいたが、半数以上の者が被害を受けていた。





