96 対レイス
レイス、それは不気味な存在だった。
黒いボロ切れのローブを頭から被り、頭と両手の部分だけ骨であることが分かる。
目の奥が不気味にひかり、足は無いようで空中から浮かんで襲ってくる。
僕は咄嗟に剣で切りつけたが、手応えがない。
実体が無いのかと考えていたら、
「翔、レイスは聖魔法か聖属性が付与された物でしか攻撃を加えられないぞ」
「僕は、そんなものないぞ。潤は持っているのか」
「伊達に聖騎士じゃないぜ」
潤は、レイスに向かって剣で切り裂く。
切られたレイスは、半分になり消滅していく。
「翔、これを馬車にかけてくれ」
「これは?」
「聖水だ、レイスは憑依するから、聖水かけて翔も馬車に避難していてくれ」
「手伝うことはないか」
「…邪魔なだけだ」
少しムッときたが、潤との仲なのでそんな事、気にしない。
潤は、次々とレイスを切り裂いていく。
今はとても頼りになるやつだと思った。
「カロンさん、この辺りはレイスが多いのですか」
「普段は、街道に埋め込まれている聖石で魔の者は、寄せ付けないはずなんですが、ゴブリン達が進行してきているので、魔の属性が強まっているのでしょう。
その為、レイス等が街道に進行してきたのではと思います」
そう言っている間に、レイスを倒し終わっていた。
『潤、えらく簡単に倒したな」
「実体がないから、聖の武器さえあれば倒すのは簡単だよ」