対帝国艦隊
「王子、お考え直し下さい」
周りの兵士達は必死で積乱雲に突入するのを止めようとしていた。
そんなに積乱雲の中とは、危険なものだろうかと疑問に思う。
積乱雲の中に入った事はないけど、防護魔法の施された空中戦艦でも入る事は難しい事だろうか?
帝国艦隊も積乱雲を避けるくらいだから、危険な事には間違いないと感じる。
だが、周りの状況を見ると帝国艦隊を相手にするよりかは、積乱雲に突っ込んだ方が逃げる確率は高いと思う。
「翔はどう思う?」
不意に僕に振ってくるサフラン王子。
そんな事、この艦の1番偉いサフラン王子が決めれば良いことだと思ってしまうが、
「周りの艦数は既に40隻を超えてます」
「40隻…、帝国艦隊のほとんどの艦隊が我々を狙っているということか」
「それほど魔族と同盟をさせたくないという事だろう」
「いや、王子、しかし、艦隊もですが積乱雲、それもあれほどまでに巨大な積乱雲なんて、今まで見た事有りませんよ」
「分かってる。だから生き残る為だ。
他の王子も乗っているんだぞ!
さあ、翔ならどうする?」
僕なら…、そう言われると僕は逃げる事しか考えない。
この艦の乗員を全て、Dルームに避難させ、僕は最後の最後まで艦を操縦して、帝国艦隊に撃墜させるだろう。
そうすれば帝国艦隊も、それ以上追うことはしないはず、後は僕が魔族領に行きDルームを開けば、無事、全員到着させる事が出来るだろう。
しかし、積乱雲の中も気になる。
積乱雲の中が、どういう風になっているのかも気になる。
僕は考えた挙げ句、
「僕は、サフラン王子に賛成します」





