94 魔法丸
僕と潤は、オオコウモリを迎え撃つ。
僕達の上空を旋回しながら、飛び回っていたオオコウモリが襲いかかって来る。
オオコウモリに向けて剣を振るうが、なかなか当たらない。
確か、コウモリは超音波で物体を確認するんだった。
「エアル、オオコウモリ打ち落として」
「は~い」
エアルが風の刃でオオコウモリを切り刻んでいく。
風は物体ではないので、避けきれないのうだ。
胴体には、ダメージを与えきれないが羽根の部分は弱く、簡単に切り裂かれた。
僕達は、落ちてきたオオコウモリに止めを刺していくだけだった。
飛べないオオコウモリは、地面でバタバタと羽ばたくだけで、何もできなかった。
ある程度、倒し終わった時、矢が放たれて来るが、途中で炎に包まれて消滅する。
ウェスタが防いでくれたようだ。
矢の飛んで来た方をスキル『遠視』で確認してみると、左右に別れてゴブリン部隊がいた。
武装していたので、この部隊も先行部隊なのだろうか。
ゴブリンの中でも、一際大きいゴブリンが指示を出しているように見える。
この部隊の部隊長なのか、まずこいつから消していくか。
僕はエルダに指示を出す。
「了解しました、ご主人様」
部隊長らしきゴブリンの足元から、土が溢れだし、ゴブリンを丸ごと飲み込んでいく。
部隊長の居なくなった部隊は、烏合の衆で連携が取れずにそれぞれ攻撃を仕掛けてくる。
そんなやつを一匹ずつ片付けていくだけだったので簡単だった。
すべてを倒し終わった頃、カロン達の馬車がやって来た。
「流石、素晴らしい。
数多くの魔獣を倒すとは頼もしい」
カロンは喜んでいたが、ほとんどは潤が倒していた。
「どうして、潤はそんなにレベルが高いんだ」
「その事は、馬車で進みながら話そう」
そう潤が言うので、馬車に乗り込みサボの街へと進み始めた。
「で、レベル高いのには理由があるのか」
「ああ、あの参謀が作った薬で魔法丸と呼ばれていた。
それを飲むと、レベルが一気に100、あっという間に上がると言うので、騎士団全員飲んだのだが、実は副作用があり一気にレベルが上がる為、体がついていけず、一週間程激痛に耐えなければならかった。
その薬のせいで、騎士団は半分以下にまでなった。
僕も死にそうに何回もなりながら、異世界転生された人達を助けなければと思い、いつの間にか、生き延びていた。