覚悟
そもそも、何故、今になって魔族領へ同盟を結びに行くのか?
気になったので聞いてみる事にした。
「1つ質問よろしいでしょうか?」
「何かな、分かることなら何でも答えるが」
「何故、今になって魔族と同盟を結ぶのかを知りたいのですが?」
「それは、その…」
ナーガ国王は言葉をつまらせたが、ネイロ国王が話し始めた。
「良いではないか、どうせ直ぐに分かる事だし」
「そうだな、今この大陸の上半分を三国同盟が領地としているのだが、下半分は強力な魔物達が住んでいる為、未開の地となっておるのだが、その中でオークキングという魔物が支配を始め、我々の三国同盟の領地を奪おうと戦力を集めているという情報が入ったのだ」
「それならば、そのオークキングを討伐した方が早いのでは?」
「そう簡単にいかないんだ。
魔物の数が数十万まで膨れ上がると予想されているのだ。」
「見ての通り、先日、機械化帝国が侵略して来て復興もまだだし、戦力もかなり落ちている。
オークキング達だけ相手にすればいいが、機械化帝国もこの機を逃さず、また攻めて来るかも知れないし、更に魔族国も少数精鋭と言っても、個人個人は桁外れの戦闘力を持っていると聞く。
出来ればオークキング達を倒す間、機械化帝国も魔族国も侵攻してこないようにしなければならない」
「その末、考えた案が魔族と同盟を結び、魔族が侵略してこないように、そして出来れば機械化帝国が侵略してきた場合の足止めをお願いしたいのだ」
「王自らが行ったほうが同盟を結びには良いのだろうが、今は戦力を集めなければならない。
だから、それぞれの王子を代わりに行かせるのだが、どうしても護衛とのしての戦力が足りないのだ」
「僕でも魔族には勝てないでしょう」
「もし、同盟がこじれた場合は、逃げて構わない。
自分の命が第1だ。
例え王子達が死ぬ事になったとしても、王子達には死ぬ覚悟が出来ているはずだ。
翔殿が生きて、王子達が死ぬ事になろうとも翔殿を恨む事はしないでしょう」
同盟を結びに行くと言うことが、そんなに重い事だと考えもしなかった。
そうだよな、周りは敵だらけ、その中から逃げ出す事は無理だろう。
相手の判断で、直ぐに殺されてしまうかも知れない。
死ぬ覚悟か…。





