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謎の仲間 69

「涼太〜〜〜〜!!」


涼太は前のめりになりながら、僕の目の前をスローモーションのように崩れ落ちた。

そしてその後ろから姿を現したのは、涼太を刺した剣を持ったまま表現1つ変えないタナトスがいた。


「な、なんで?」


僕は思わずタナトスに聞いていた。

何故、ここにいるのか、それに先程まで全く気配の欠片も感じなかったのに、突如、涼太の後ろに現れた。

どうやって?なんの為に?突然、涼太が刺された事に頭が混乱していた。


「なんでだって?

それはコイツが我が娘を拉致したからだ」


娘だって?確かに幼女は様々な種族がいた。

その中にタナトスの娘がいたということか。


「それでも殺す事はないだろう」


まだ死んだ訳ではないが、刺された位置、そして流れ出る血の量を考えると致命傷だろうと思う。

涼太はもう長くは持たないだろう。

だが、僕にはどうする事も出来なかった。

致命傷を治す回復魔法も回復薬も持っていない。

もしかしたら仲間の誰が回復させることが出来るかも、今すぐに呼んで…、いや、間に合わないだろう。


「お前は親の気持ちを考えた事はあるか?

ずっと探して、やっとこの場所を見つけたが強力な防護魔法で守られていた。

我の力ではどうしようもなかった。そんな所へ、お前がやって来て見事に防護魔法を破壊してくれた。」


涼太が死にかけているのは僕の所為なのか?

僕が竜聖剣で防護魔法を破壊しなければタナトスが入って来ることもなかったはず。

タナトスと向かい合うも僕の力ではタナトスに勝つ事は無理だろう。

僕が斬りつけた瞬間、僕は瞬殺されてしまうだろう。


「しょ…う」


涼太の微かな声が聞こえた。

タナトスの事は今はどうでもいい。

僕は涼太の側に駆け寄った。


「涼太、涼太、大丈夫か?

こんな傷、直ぐに治してやるからな」


治すと言ったものの僕には治す手立てを持たない。


「も、う…いい、んだ」


「何がいいんだ。一緒に元の世界に帰ろう」


「く、く、く」


涼太は笑っていた。


「無理だ、と、言った、はず」


「無理じゃないさ、みんなが居れば」


「もう、手遅れ、だ」


そう言うと涼太は自分の着ているローブをめくり始めた。

自分の刺された場所を見せるのかと思ったら、


『うっ』


ローブの下から現れたのは、身体が腐り、身体の殆どが骨になりかけている姿だった。

既に半分ゾンビ化していた。

このままだと不死の王…には無理だろう。

意思のないゾンビになるのが関の山だろう。


「わかっ、ただろう。

どっち、みち、死ぬ、はず、だったんだ。」


「死ぬな!涼太!」


「これでいい。

俺が悪い、のさ。

もう、少し、早く、出会え、たら、ちがっ、た、の、か、も…」


涼太は全ての力が抜けるかのように息を引き取った。


「涼太〜〜〜!」


涼太の身体は崩れ始め、砂になって風と共に消えていった。

残ったのは魅惑の腕輪だけだった。


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