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88 天使再び

潤は、傷を押さえながら歩いているが、かなりキツそうだ。

手持ちの薬草で、傷の回りに塗ったが効果はあまり無さそうだ。


『こんな時、神官が居てくれれば、

もしくは、高度な回復魔法を覚えていたら』


いつも後悔こうかいばかりしてしまう。

追撃は、来ないようだが油断は出来ない。

回りを警戒しつつ、歩いていると小さな洞窟を見つけた。

奥行きは、そんなにないがここで少し休もう。

潤が、かなり青ざめていた。

血を流し過ぎたせいだろうか。


「潤、大丈夫か」


「ああ、いまのところは。

翔、俺はいいから逃げてくれ」


「なに言っているんだ」


「俺は多分たぶん長く持たない」


「何言ってる!クラスメイトが待っているぞ」


「クラスメイトか…、みんなに済まないと言っておいてくれ」


「どうして?」


「俺があの時、魔方陣を書こうなんて言わなければ、こんなことにならなかったのに」


「それはクラスのみんなが決めたことだろう」


「言い出したのは、俺だ」


「いや、それでも…」


潤が僕とダブって見えた。

お互い自分のせいだと思っている。

潤は魔方陣を書こうと言ったこと、僕は血を流し異世界への扉を開いてしまったこと、お互いやんでいるんだ。

本当は分かっているだ。

でも、それじゃ駄目だ、前に進まないと、僕は自分自身に言い聞かせた。


「潤、それでどうして僕達を助けたんだ」


「それは、僕が騎士団に入ったのは、クラスメイトを助ける為だ。

僕のせいで、この世界に来てしまったみんなを助けて、元の世界に返したかった。

翔が捕まって、殺す算段さんだんをしていたから、居ても立ってもいられず、隙を見て助けたんだ。

生憎あいにく、僕はこうなってしまったが…」


「同じだな」


「ん」


「僕もみんなを助けたかった。

僕が血を流した為に、魔方陣が発動してしまった」


「それは、俺が魔方陣を…」


「発案したから、書いたから、クラスメイトで何かしようと言ったから、それは違うだろ。

もしは無いんだ。

魔方陣を書いてなければ後悔しなかったのか、普通の生活をして大学、就職してみんな離ればなれになる。

だからクラス全員で決めたのだろ。

後悔してないと言ったら嘘になるけど、やらないよりはしだと思う」


自分自身に言い聞かせるように話した。


「強いな、翔は」


「強くないよ、現にこの傷どうしようもないし」


潤は青ざめながらも、にこりと笑い、


「そんな事、誰かが言っていたな、確か、やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいいだったかな」


「ああ、僕を助けたこと後悔しているか」


「いや、助けて良かったと思うよ」


お互い微笑ほほえみを浮かべる。


『ご主人様、誰か来ます』


僕は剣を構え、攻撃体制になる


「どうした、翔」


「誰か来る」


『ガサ、ガサ、ガサ』


しげった森の中から現れたのは、天使と間違えたルナだった。


「あれ~、そこにいるのは翔くんじゃない、どうしてここにいるの?」


「それはこっちが聞きたい」


「私は、食料になる木の実や薬草を取りに来たの、翔くんは?」


「僕は、敵国に捕まりそうになった所を逃げて来たんだが、仲間が負傷して動けないんだ」


「ふ~ん、ちょっと見せて」


ルナは近づいてくる。

敵国の兵士、スパイなどでは無さそうなので、潤を診てもらう。


「凄い傷、早く処置しないと危ないわよ」


「回復の手立てが無いんだ」


「ん~、夕食ご馳走してくれるなら回復してあげるけど」


「出来るの、急いでお願い」


「分かったわ、約束は守ってよ」


ルナは、背中の翼を開き何やら呪文を唱える。

するとルナの体全体が輝き始める。

『天使様だ』と思ったのは、僕だけだろうか。

輝きがルナの手から、潤の体に移り二人とも輝いている。

暫くすると、二本の矢は少しずつ自然と抜けてきて、最後に矢は抜けてしまい傷痕きずあとも無い。


「これで、大丈夫なはず」


「ありがとう、ルナ、助かったよ」


「約束は守ってよ、でも血が抜けすぎているから栄養のあるもの食べた方がいいんだけど…」


その時、アナンタのお腹がなった。


『グゥ~~』


「お腹空いたよ」


そう言えば牢屋に入れられてから、何も食べていないな、今、昼頃か


「お昼ご飯にするか」


「やった~」


「ルナも食べていけば」


「はい、遠慮なく、夕食は別よ」


チャカリしているな、精霊達もご飯と聞いて人の姿で現れる。

エルダにかまどを作ってもらい、ウェスタに火を出してもらい、エアルに煙が見えないようき消してもらい、アルケーに水を出してもらう。

精霊達はなんて便利なんだろう。

食料はリングボックスの中に大量にあるから、適当に料理を作る。

料理スキルも高くなっているから、適当に作っても美味しくできてしまう。

一時ひとときの安らぎを過ごすのだった。






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