86 脱出2
「もうすぐで裏口だ」
潤が声をかける。
裏通りは人が疎らで、ほとんどが奴隷達だった。
馬で駆け抜けているが、奴隷達には何が起きているか分かりもしないだろう。
「止まれ!」
潤が叫ぶ。
「どうしたんだ」
「裏口に、ゴブリン部隊が50人いる」
「どうする?ラウージャ」
「迷っている暇はない強襲する。
翔は後ろへ、精鋭部隊、突撃するぞ」
ラウージャを先頭に精鋭部隊が突入していく。
ゴブリン達は、気付くのが遅れ慌ただしく動き始めるが、すでに精鋭部隊はゴブリンに斬りかかっていた。
流石、精鋭部隊、ゴブリンなど相手にならず、数をどんどん減らしていく。
その時、裏口から警報が鳴らされる。
「しまった!」
「急いで殲滅しろ!」
連携された精鋭部隊の攻撃で、ゴブリン達を殲滅してしまったが、警報を鳴らされた為、応援が来るのは時間の問題だった。
「脱出するぞ」
裏口を抜けると森の中で、獣道らしき道をただ真っ直ぐ進む。
「このまま真っ直ぐ行くと街道に出るはずだ」
「これからどうする、ラウージャ」
「主力部隊は、何処を攻撃しようとしてるんだ」
「それは、国境の街ハムレットを攻めるつもりだ」
「ん~、それではハムレットに向かう振りして、少し遠回りだけどサボ街へ行こう」
街道をハムレットに向けて走り出す。
三人乗っているせいか、段々と遅れ始める。
「翔」
「先に行ってくれ、ラウージャ後で追い付く」
今は一番後ろを追いかけるように走っていた。
その時、エアルから、
『ワイバーンに乗った騎士達が来ます』
「ラウージャ、ワイバーンが来るぞ」
「止まれない、そのまま突っ切るぞ」
ワイバーンは段々近づいてくる。
20騎ほどが編隊を組みこちらにむかっている。
もう目の前まできているがどうする。
精霊達にやってもらうか。
「私に任せて」
とアナンタがいった
アナンタは僕と潤の間に立ち、後方を確認する。
「耳をふさいで」
そう言うと、アナンタは何かを叫んでいた。
超音波だろうか。からだに振動が、そして耳鳴りが響いてくる。
ワイバーンの編隊は崩れ、それぞれ散り散りになり、いずこかへと飛び去っていた