83 会見
今日は、会見の為に早めに宿屋を出発した。
街中を抜けて王宮まで20分程の距離だが、朝早くから人通りが多く、行き交う人で混みあっていた。
王宮の前まで来ると、その大きさに圧倒される。
王宮と言うよりは、城塞と言った方が正しいかも知れない。
四階建ての建物で周囲を囲まれており、所々に監視塔が立てられており、多くの兵士たちが行き交う様子が目に見えて分かる。
大きな城門をくぐると、中は広いスペースがあり、王宮らしき大きなヨーロッパ風のお城がみえ、その横には何故かピラミッドみたいな建物がある。
『あれは、何だろう』と思いつつ王宮の中へと案内される。
至る所に兵士が配置されており、物々しさを感じてしまう。
正面玄関から入り、真っ直ぐに行った所にあるが大きな扉まで案内される。
扉の前にたっていた兵士達が扉をゆっくりと開いて行く。
扉を開いて中の様子が分かった瞬間、更に物々しさを感じた。
正面の奥、少し高い段に国王らしき人物が、その左側に大臣だろうか、三角帽子に白の祭服を来た人物、右側に黒いローブを頭からすっぽりと被り顔がよく見えない人物がおり、入り口から国王のいるところまで、左側に甲冑に剣と盾を持った騎士が200名ほど、右側には白のローブと黒いローブを着て杖を持っている人物が200名ほどいる。
僕達は、30人程しか居ないのに、かなり威圧的な態度である。
この人数で戦ったら、負けるのは目に見えて分かる。
ラウージャを先頭に、国王の前まで進み出る。
僕は回りを警戒しながら、付いていく。
騎士達を見ている時、ふと見覚えのある人物を見つけた。
あれは、生徒会長の稲垣潤ではないかと思ったがこの場で聞く余裕はなく、国王との会見へと進む。
「国王、ナーガ国大使に対してこの物々しさ、これはどういう事か」
ラウージャは、少し声を荒げて問い詰めた。
「イザカロ国イマリ国王の御前である、分をわきまえろ」
国王の隣にいた大臣らしき人物が口出しする。
「ナーガ国大使としてやって来ている。
そちらの方が無礼であろう」
「何!」
国王は、右手を軽く上げ大臣を止め呟く
「それで、大使とは何をしに来たのか」
「それは、和平条約を結びに」
「異なことを、ワシはそちらが戦争を仕掛けていると報告を受けているが」
「それは誤解です。第三者の策略によって、戦争が起きようとしてます。
私達はそれを止めようとしているのです」
「どう思う大臣」
「これも敵の罠の可能性があります。
本物かどうかも怪しいですな」
「本物という証明は出来るか」
「証明は出来ませんが、我が国王からの書があります」
「それも本物かどうか分からぬな、どうする参謀」
黒いローブの人物が話始める。
「そうですな、もう理由はいいのではないでしょうか、こやつらを人質に戦争を仕掛けましょう」
そう言ったかと思ったら、ラウージャ、精鋭部隊が次々と倒れ出した。
『しまった!』
僕にも目眩がそして景色が歪む。
少しは耐性があったからのか、少しは持ちこたえていたが、堪えきれずその場に倒れた。
「よし、こやつらを地下牢に閉じ込めろ、そして人質を盾にナーガ国へ進行するぞ」
僕は微かな意識の中、兵士達に引きずられて行く。
慌ただしく動く兵士達の音を聞きながら意識を失った。





