82 会見前
王都に近づくにつれ、行き交う人達が多くなってくる。
こんな人通りの多い所で、奇襲はされないと思いたいが、気は抜けない。
段々と王都が見えてきた。
自国のように城壁で囲むのではなく、自然な山に囲まれた都市になっていて、その出入り口のみ城壁で守られていた。
「翔くん、もうすぐ到着するけど、なるべく精霊魔法は使わないでくれ」
「ラウージャ、どうして」
「かくし球的意味もあるけれど、相手に対して敵対心があることを伝えたくない。
万が一の時、切羽詰まった状態の時に使ってくれ」
「分かりました」
精霊達にも、その旨伝えた。
王都につき城門で入門手続きを取るが、ナーガ国大使ということで、そのまま通された。
この国の街並みは、かなり大きな建物が目立つ。
一番大きく高い建物があるが、あれが王宮だろうか。
街事態が活気に満ちていた。
先に王宮へ面会の伝令を出した。
その間、街を少し散策してみることになった。
この街も、やはり人族が多く、それ以外は奴隷という感じみたいだ。
物価は自国よりも少し高い気がする。
美味しそうな焼き鳥の匂いがしてきたので、一本ずつ買ったが、価格が自国の1.5倍くらいの価格だった。
肉質が違うのかと思ってしまう。
伝令が戻り、明日の朝から面会できるということだったので宿屋を探した。
物価が高いせいか、宿屋も高い所しかなかったが、どうせラウージャが払うからいいか。
かなり高級な宿屋に泊まることになった。
現代のホテルのような建物で、中もレトロな感じの雰囲気を出していた。
食事はそれぞれの部屋で取るタイプで、すべてラウージャが払うというから、遠慮なく精霊達とアナンタの分も頼んだ。
精霊達も、アナンタも沢山食べて満足したのか、ベッドで先に眠りについた。
今日は久しぶりゆっくり眠れそうだ。
皆の可愛い顔を見ながら眠りにつく。
明日は、いよいよ会見がある。
何事もなければいいのだが…。