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80 天使?

からだが重い。

『あれ、動けない。これは金縛りなのか』


何か柔らかい物が、からだいたる所当たってる感触がする。

目を開けて確認すると、僕の回りに五人が折り重なって寝ている。

ベッドで寝かせたはずなのに…、一気に目が覚め無理やり五人を退かして、逃げるように部屋を出た。


行く宛もなく、瞑想する場所を考えたが知らない街だし、屋上へ行くことにした。

まだ外は暗く、夜明けまでは、まだ大分だいぶ時間がありそうだ。


『少しからだを動かすか』

柔軟体操を軽くおこなっていたら、後ろから


「お兄さんも、眠れないの?」


僕は、誰も居ないと思っていたのに、いきなり声がしたので一瞬びっくりした。

振り向くと、屋根から出た煙突えんとつの上に座って居る天使がいた。


月明かりに照らされたその姿は輝いているように見えた。

黒い髪の美少女、からだよりも大きな白い羽根、そして白いワンピース姿…、

だがよく見ると服は、薄汚れているように見える。


「天使様?」


美少女の天使は、笑いをこらえていたが、堪えきれず笑いだした。


「クッ、クッ、アハハハ」


「何が可笑おかしいんですか」


「アハハ、ごめんなさい、クックックッ。

よく間違えられるけど、私は鳥人族ちようじんぞくで、人とのハーフなの」


天使は、羽根を広げ飛び立ち、僕の横へと降り立つ。


「私を見て驚かないなんて不思議な人、ハーフはどっちつかずなのに、鳥人族でも、人族でもないはみ出し者」


「それでも、美少女だから見とれてしまう」


「まあ、ありがとう。そんな事言ってくれる人いなかったわ、あなたの名前は?」


「僕は翔」


「翔さんですか、私はルナ、この宿屋で働いているわ、誰もいない夜の間だけ羽根を伸ばして息抜きしているの、この羽根は隠せるのよ。

この事は内緒よ、私は人族として働かせてもらっているからバレたら追い出されてしまう。

お願いね、翔さん」


「どうして、そんな秘密を僕に話すのですか」


何故なぜかしら…、あなたが少し気になったからかしら」


「それはどういう意味ですか」


「さ~あね、ウフフ、朝の支度があるから、またね」


からかわれたのだろうか、とても不思議な人だった。

回りがうっすら明るくなってきている。

僕はあわてて瞑想を始めた。


瞑想が終わり部屋に戻ると、精霊達とアナンタが

いつの間にかいなくなった僕に文句を言う。



「ご主人様、どこ行っていたのですか」


「マスター、私を置いていかないでください」


「こんな美女達置いてどこ行っていたの、マスター」


「一緒にいてほしいです、ご主人様」


それぞれが一緒に言うので、何を言っているのかよく分からなかった。


「同じくらいの歳になって、一緒に寝ていたらこっちが照れるから止めてくれ」


「あら、マスター私はいつでも構わないのだけど」


「ウェスタ、だから止めてくれ」


いくら言っても聞かないだろうけど、理性があるうちは手を出さないようにしないと…。

その時、ドアをノックする音がした。


「はーい」


ドアを開けると、今朝のルナがいた。


「お客様、朝食の用意が出来ましたので、食堂で食べますか、それともお部屋で食べますか」


「それじゃ、部屋で食べたい。

あと追加で食事の用意は、出来るかな」


「それは大丈夫ですが、どのくらい必要ですか」


「そうだな、あと8人前くらい頼めるかな」


「そんなに一人で食べられるのですか」


「そんな訳ない、あ、僕の秘密も教えてあげる」


「秘密ですか」


「ああ、部屋の中に入って」


僕はルナを部屋に案内する。


「アナンタは、いつもいるけど、あと精霊達が四人居るんだ」


ルナは驚いていた。


「精霊なんて初めて見ました。

それも四人も、だから私を見ても驚かないのですね。

分かりました、追加で8人分、それでも食べ過ぎのような気がしますけど用意します。

お互いの秘密、黙ってましょうね」


ルナはウインクしながら部屋をあとにする。

暫くして料理が運ばれてくる。

なかなか豪華な食事だが、量が多いし、朝から胃がもたれそうな料理だ。

精霊達とアナンタは、美味しそうにガツガツ食べている。

もう少し女性らしくおしとやかにしてほしいと思うけど、誰も見ていないからいいか、

僕も軽く食事をとり、出発の準備をした。







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