73 地下の主
商店街にある屋台まで、馬車でやって来た。
ほとんどの所が、姿が汚いとか匂いが臭いとかで断れたが、一番奥にあった焼き鳥屋だけが、店の外でも良ければということで、食事は焼き鳥に決まった。
店の目の前が、公園になっていたので、そこに皆を待たせて、焼き鳥を適当に買ってきて配る。
「これ、食べていいの?」
「こんなの初めて食べる」
「神に感謝します」
「良いから食べて、足りなかったらまた買ってくるから」
「頂きます」
ちゃっかり、精霊達もアナンタも食べていた。
こいつらにも、遠慮するっていう気持ち無いがないのかと思う。
クラスメイト達も、一緒に食事とりながら、これからどうするか考えていた。
「子供達も生活用品が、全然無いので買わないといけないな」
「修道女の日用品も買わないとね」
「私の分はいいので、子供達の為に使ってください」
「お金は有るから、皆の分買いますよ」
「そう言えば、修道女さんの名前聞いてませんでしたね」
「私は、エリス、プラネテス教のシスターです」
プラネテス教とは、どんな宗教なんだろう。
この世界にも、いろんな宗教があるのだろうか。
「エリスさん、これから普通通りの生活をしてもらいたいので、必要な物を買います」
「そこまでしてもらっていいのでしょうか」
「はい、その分頑張って働いてもらいますから」
「奴隷商人何ですか」
「違います、普通通りと言いましたよね」
「はい、すいません。あまりにも話ができすぎていて」
「それも神様の思し召しです」
「そうですよね、これからはエリスと呼んでください」
僕達は食事が終わると、日用品と服の買い出しに出掛けた。
一度、見て回っていたので、だいたいの店の場所は分かっていたので、人数分を買い揃えて、今日は片付けもあったので、孤児院に皆泊まることになった。
夕食の支度を僕はラウサージュと一緒にやっていた。
買い出しもそうだけど、作る量もこんなに沢山作ったことがなかった。
目分量で適当に作っていた。
孤児院の皆は、引っ越す為に荷物を片付けていた。
「夕食の準備出来ましたよ」
「すいません、翔さん、夕食まで作ってもらって」
「いえ、美味しいかどうか分かりませんが」
皆黙々と食べている。
「美味しいよ」
「流石、翔だな、その辺りの料理屋より、よっぽど美味しいよ」
「うん、最高よ、翔くん」
料理を誉められるととても嬉しい。
適当に作ったけど、料理スキルのおかげだろうか、自分でも美味しく出来たと思う。
後片付けを済ませ、
「明日は、朝から移動するので早目に寝ますか」
ベッドが無い為、草や藁で作られたベッドらしき所で、皆雑魚寝して眠る。
今日は、何だか疲れたのですぐに眠りについた。
何処からか、水の落ちる音が聞こえる。
『ポツン、ポツン』
一滴、また一滴落ちている。
寝ていたはずなのに、これは夢なのかと思った所で、ふと目が覚める。
『夢か』
と思ったが水の音が聞こえる。
何処からだろうと思い、何となく音のする方を探していた。
『台所の方からだ』
誰かが水をこぼしたのか、皆寝ていたので起こさないようにそっと動いた。
音は台所みたいだが何処からだ。
耳を澄まして聞いてみる。
下か、床の下から水の落ちる音が聞こえる。
床をくまなく調べてみると、一ヶ所床の石が動きそうな場所があった。
その石には、何かの紋章みたいなものが刻まれていた。
僕は石の隙間に剣を刺して、石を持ち上げる。
すると石の下には、下へと続く階段があった。
『スキル暗視』を使い、下に降りて見る。
何だろうここは、通路がずっと先まで続いているようだ。
そのまま、先に進んでみることにする。
「幽霊とか出ないよな、苦手何だよな、誰か連れて来ればよかったかな」
「呼ばれて参上」
「わあ、びっくりした。
驚かすなよ、ウェスタ」
「一人で、何処かに行ってたから気になって」
「ちょうど良かった、一緒に付いてきてくれ。
一人じゃ、心細くて」
「まあ、ご主人、私を頼ってくれるなんて感激」
そう言う訳では無いが…いいか。
何処まで続くのか通路が長い、マップで確認すると城門の外まで行きそうな感じだ。
突き当たりに扉がある。
位置的には、城門の外まで来ている。
扉の先には何があるか、気になるけど開けたくないようなと思っていたら、ウェスタが扉を開けた。
『ちょっと』と言いたい所だが、中に入り回りを確認する。
中はかなり広い、奥の椅子に誰か座っている。
確認する為に、近いて見るとまたしても黒いローブを着て、見えている顔と手は骨になっている。
また、このパターンかと思い元の道に帰ろうとすると扉が閉まる。
扉を開けようとするが開かない。
壊すか、扉を開けたときかなり分厚かったから無理か
骸骨が喋りだす、
「ようこそ、何百年ぶりの来訪者でしょうか。
力を求めし物よ、お前の力を示せ」
「あの~、すいませんが偶然にも、ここまで来てしまっただけで力を求めている訳では無いんですが」
「何、ここには、たまたま来ただけだと言うのか」
「はい、そうなんです、だから帰りたいのですが」
「ここに、たまたまで来られる訳がない。
入り口には、紋章の封印がしていたし、この場所は気付かれないように魔法が施されている。
お主は、導かれて来たのだよ。
出でよ、我がしもべ達。」
骸骨姿で剣と盾を持っている。
数は、ざっと200、レベルは50か。
レベルは問題ないが、数が多すぎるな。
あのマスターらしき骸骨を倒せば終わりかな。
すんなり通してくれ無いか、
「ウェスタは右側からお願い、僕は左側から攻める」
「ご主人様、了解です」
こうして、訳も分からず戦いが始まろうとしていた。