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60 執事の回想

リビングで僕達が下らない話に花を咲かせていると、執事が目覚めたようで部屋からやって来た。


「気分はどうですか、恒明さん」


「お世話になったみたいで、申し訳ありません

ところで私の制服は何処に」


博と執事を寝かせる為、そのままだと服が汚いし臭いから、取り敢えずバスローブに着替えさせていた。


「今、洗濯に出しているよ、しばらく我慢して」


「そうですか」


「恒明さん、少し話しませんか」


「坊っちゃんもまだ寝ていますし、この状態では何処にも行けませんのでいいですよ」


「まず聞きたいのは、何故、恒明さん達がこの世界にいるのかと言うことです」


「私が覚えているのは…、


夏のとても暑い日でした。

坊っちゃんが、夏休みの追試を受けるということで、その迎えに来ていた時でした。


私と運転手は校門の横で待機し、坊っちゃんの帰りをお待ちしてましたが、予定の時間になっても現れないので、私は校舎内までお迎えに行くか行かないか悩んでおりました。


何かトラブルに巻き込まれていないか、とても心配しておりましたが、30分過ぎてもいらっしゃらないので、迎えに行くことにしました


校門を抜けてグランドの横を通り、校舎までの並木道を通っていた時、風が少し吹き始め木がざわついていました。


私の心の中も、木のざわめきのように何か変な胸騒ぎがしたのです

急いで校舎に向かいました。

玄関を入ると、


「坊っちゃん」


「いや~、すまない遅くなって。

追試が終わったあと、先生の説教が始まってしまって」


坊っちゃんを見て安心しましたが、胸騒ぎはなくなりませんでした


「坊っちゃん、急いで帰りましょう。

変な胸騒ぎがします」


「執事の胸騒ぎは当たるからな」


私達は、急いで車に戻ろうと玄関を出た瞬間、まぶしい光に包まれ記憶が飛びました。

気が付いたのは、運よくこの街の近くで坊っちゃんも近くで倒れていました。


私達は、城門まで何とかたどり着来ましたが、指輪がないと入れないということを知り、城門の前で、どうしようかと難儀なんぎしていた所に、商人のキャラバン隊がやって来たので、私の身に付けている貴重品と指輪二個と何とか代えてもらい、街に入ることができました。


持っている貴重品はすべて渡したので、一文いちもんなしになってしまいましたが、食料をどうにかしないといけなかったので、街の外で狩りをする事にしました。


獲物を捕まえても、お金が貯まらず仕方なくこのスラム街で暮らすことにしました。

森から集めた木で仮宿を作り、そこで過ごすことになり、坊っちゃんには狩りなんかさせる事が出来なかったのでスラム街に置いて、私だけ狩りに行く日が続き今日に至ってます」


「恒明さんも苦労したんだね」


「博にも、何か手伝わせれば良かったのに」


「それは、坊っちゃんだし…」


「この世界まで主従関係持ち出さなくてもいいんじゃないですか」


「ああ、その通りだよ翔」


不意に後ろから声がしたと思ったら、博が起きて来た。


「坊っちゃん、もう大丈夫なのですか?」


「ごめん、恒明、心配かけて。

これからは僕も手伝うよ、最初は何も出来ないかも知れないけど、少しずつ覚えていくよ」


「坊っちゃん、強くなられましたね」


「あと、坊っちゃんはやめてくれ、博でいいから」


「いえ、私、恒明、死ぬまで主従関係変わらないと思っていますので、坊っちゃんが駄目なら博様とお呼びします」


「好きにしてくれ」


「博、これからどうするんだ」


「そうだな、恒明と狩りをしながらお金稼ぐか」


「それなら、白銀傭兵団に入らないか?

元の世界の人間集めているんだ

同級生もいるし、家もあるから食事の心配も宿の心配も要らないぞ」


「本当かよ、でも傭兵団か。

どうしよう、恒明」


「私は、博様に付いていくだけです」


「僕は、翔のお陰で目が覚めた。

だから、翔が勧めるなら間違いないだろう」


「早速、セレナさんに連絡とってみる」


メニューを開き、セレナに連絡を取り事情を話したら、全然大丈夫という返事が来た


「サンピースの街まで同級生が迎えに来るから、王都から馬車でサンピースの街まで移動してくれ。

資金は、渡すから使ってくれ」


「すまない、翔、この恩は忘れないから」


「いや、忘れていいから。

この世界を生き抜く事だけ考えてくれ。

そして無事、元の世界に帰れるように」


「分かったありがとう」


「私、恒明からも、このご恩一生忘れません」


次の日の朝、博と恒明はサンピースの街に向かい出発した。

昨日はカンダスくん、戻って来なかったがやはり何か事情を知っている事に間違いないだろう。

あとは、カンダスくんをどう白状させるかだが、


「任せたまえ、ワトソンくん」


「はぁ~、誰ですか?」


「私を知らないのですか、私の名前は沙羅・ホームズ、難事件の小説は読破済みよ任せなさい」


逆に凄く心配何ですけど、任せて大丈夫何だろうか。

取り敢えず今日も授業があるので、魔法学園へと向かった。



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