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50 護衛任務

『ドンドンドン』


誰かが玄関のドアをノックする音が聞こえる。

沙羅が玄関のドアを開けると、そこにはセレナさんがいた。


「翔くんいる?」


「どうしたんですかセレナさん、朝早くから」


「急用なの、リビングに呼んでもらえるかなぁ」


沙羅は急いで僕を呼びに来た。そして僕が呼ばれたはずなのに、リビングには全員集まっている。


「どうしたんですか?セレナさん」


じつは、領主から私と翔くんに召集依頼しょうしゅういらいが来たの、何かやった?」


「い、いえ、特に何も」


「自分では気付かないだけで、何かやらかしたんじゃ」


「昨日、街に出掛けたぐらいで…」


「翔、誘拐犯を倒したじゃないか、あれが領主の命令だったら」


「!…、ヤバイかも」


「サンピースの領主が、そんな事するわけないと思うけど、あとは翔くんが精霊を持ってるのがばれたか」


「精霊は、持っていたらダメなのですか?」


「そう言うわけではないけど、翔くんも分かるでしょ、精霊の力の強大さを、だから出来ればばれないようにしないと戦争の道具にされてしまうから」


「確かに、精霊達にはずいぶん助けられたな」


「そんな、当たり前ですよ、マスター」


「ご主人様の為ですもの」


「行ってみないと分からないわね、直ぐに出掛けるわよ、支度して翔くん」


「精霊達は、置いて行った方がいいですか」


「嫌よ、マスターに付いていきます」


「ご主人様が行くなら」


「あたいを置いて行くきかしら」


置いていっても無理やり付いてきそうな勢いだ。どうやら連れて行くしかなさそうだが、


「街の中では、姿隠すか、人の姿のままでいてね」


「分かりました、マスター」


精霊達は、嬉しそうにはしゃいでる。

そう言えば、街中では精霊達居なかったが何してたんだろう。

少し気になったが、街中ではいない方が良いかも知れないな。


「もう一匹ペット居なかった?」


「あぁ、アナンタのことね、最近ずっと日向ひなたぼっこしている。

食っちゃ寝ばかりしているから、どんどん太ってきている。」


「運動させれば?」


「あいつ、動こうとしないんですよ。

だからいつもそのまま」


「大丈夫なの」


「大丈夫でしょう、腹減ったら餌ねだるし、食べ物与えとけばあとは寝てるだけ」


「そうじゃなくて、太りすぎると病気にかかったりするでしょ」


「多分、大丈夫でしょう。飯の時間には動き出すし、食欲がないということが無いですから」


「そ、それならいいけど、さあ準備して」


セレナさんと二人サンピースに向け出発する。

セレナさんは軽装備で、普段着に胸当て、腰当て、腕・足にプロテクターを付け、長剣を腰に挿している。

髪をポニーテールに結び、顔がよく見える。

さすがに美人三姉妹、顔がよく似ている。

いつもは、明るいセレナさんだが、さすがに領主の所に行くとなると緊張しているみたいだ。

…いや、僕と二人きりだからか、デートだから、いろんな妄想もうそうが浮かぶ、その美しい顔、その美しいプロポーション、手を繋ぎ歩きたい。

そう思いセレナの手を握ろうとすると、


「ご主人様~!」


「わぁ」


「どうしたの?翔くん」


「べ、別に何でも無いです」


エアルのお陰で、すんでの所で思いとどまった。

あのまま手を繋いでいたら、喜んでくれるだろうか?それとも軽蔑けいべつされるだろうか?

そんな事考えながら、サンピースの街に着いた。


街の中心部にある大きな邸宅、衛兵の数も半端なく多い、領主邸宅の門前で面会受付を行っていた。

邸宅の中に案内されると、内部はとてもやびかで、豪華な作りとなっている。

貴族のお城って感じ、領主だから貴族なんだろうけど。

奥の応接室に通される。


「こちらでしばらくお待ち下さい」


使用人は、案内が終わると戸を閉めて出ていってしまう。


「セレナさん、領主には会ったことあるんですか?」


「翔くん、ここではあまりしゃべらない方がいいわ、いろんな所に目があるから」


『ハッ』と思い、気配を探ると左右のドアと天井に多数の気配が感じる。


「セレナさん」


「大丈夫よ、様子をうかがっているだけだから」


暫くすると、僕達の入って来たドアから二人の男性が現れる。


「いや~、待たせたね。セレナ団長と君が翔くんだね。

楽にしてくれ、別にとががあって呼んだわけではない。

先に挨拶あいさつしないとな、私がここの領主クレイダル男爵と言う、お見知りおきを。

じつは頼みがあって呼んだのだが」


「頼み?」


「ああ、さぁこちらにおいで」


「あ~!、その子は」


「どうしたの、翔くん、知り合い」


「ええ、昨日絡からまれていた所を助けた人です」


「この子は、わしのおいでラウドという、ほら、挨拶しなさい」


「ラウドです。」


無愛想ぶあいそうだが、出来た子だから。

話というのは、この子のボディーガードを頼みたい」


「ボディーガードなら、既に回りに沢山たくさんいるのでは?」


「確かに、ボディーガードは居る。

探していたのは、この子と同じくらいの年で腕のたつ人を探していたんだ。

昨日の話を聞いて、調べさせてもらった。

翔くんがうってつけだと」


「話にりますが、翔くんに何をさせる気ですか?」


「この子は、王都にある魔術学園に通っているんだが、最近、嫌がらせがひどくなってきて、命の危険にさらされるようになってきて。

大人のボディーガードは、学園内には入れないから、学生として護衛を頼みたい」


「学園に報告するとか、学園を止めるとか方法はいくらでもあるんじゃないですか?」


「学園には、報告したが『そんな事はないはず』の一点張り、学園をやめるにも王都の学園と言うこともあって、どんな風評が流れるか、何よりこの子が魔法を習いたいと言う気持ちが大きくてな」


「他の魔術学校でもいいのでは?」


「ダメ!王都じゃないと」


「ふ~、どうする翔くん」


「少し考えさせてください」


「報酬は金貨100枚、犯人を見つけるか、学園を卒業するまでだ」


「金貨100枚!!」


セレナさんの驚く顔が印象的だった。

金貨100枚が、どれくらいの価値になるのか分からなかったが、この世界に来ても勉強しないといけないのか?

この問題は、帰ってから皆に聞いてみよう、そう思い一度帰宅するのでした。










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