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48 ベタな出会い

僕と隼人は、サンピースへの街道を歩いていた。


「久しぶりだな、二人だけで出掛けるの」


「そうだな、隼人が女の子探しに駅前まで行こう、と言ってあてもなくぶらついた以来だな」


「あのときは、結局けっきょく何しに行ったのか、分からなくなったけどな」


「今は、同じ屋根の下、美少女ばかりいるけど、翔は誰を狙ってるんだ。

やっぱりそらか」


「う~ん…、まだわかんないや、恋愛って具体的にどういうものか分かってないし、今の関係壊したくないと気持ちもあるし、当分とうぶんは今のままがいいかなぁ」


「出た、優柔不断。

早くしないとほかの男に取られるぞ」


「まだ、好きだと言う感情が分からなくて…」


「あの~、すいません。

お話の途中で、私達もるのですが…」


そうだった、話に夢中で二人だけと思っていたら、精霊達の居るのをすっかり忘れていた。

さっきの話、不味まずいかと思い僕は顔が赤くなっていないか心配だった。


「ちょ~っと、ご主人様には、あたいウェスタが居るじゃない~。

ほかの子に目移りしたら、燃やすわよ~」


本当に燃やしそうで怖いんですけど…。


「私達だって、成長したら負けないだから」


「あら~、あなた達、私の美貌びぼうに勝てるかしら~」


「う~、新入りの分際で」


「早く成長して見返してやる」


「覚えてなさい」


それぞれ、愚痴ぐちを言い合っている。

ケンカするほど仲がいいと言うが、仲がいいのか悪いのか。

話をしながら、サンピースの城門までやって来た。


「さて、入るためには指輪をめないといけないが、人数分は貰って来たけど、どうする?」


「私は、嫌よ。もうだまされたくないから」


「それなら街いる間、姿が見えないようにしてくれないか」


「え~」


「指輪つける方がいいか」


「わ、か、り、ま、し、た。姿を消しときます」


「エアル、アルケー、エルダーはどうする」


「私達も指輪嫌いだから、姿消します。」


城門には、街に入る為に長い列が出来ている。

街に入るには、まだ時間がかかりそうだ。


「まだかよ、いつまで待たせる!」


隼人は、待つのに飽きてイライラしている。

精霊達も、飽きて何処かに行ったみたいだ。

一時間ほど経過しただろうか、やっと順番が回って来て街に入ることができた。

隼人は、門を通る時、衛兵に『もっと早く出来ないか』とか愚痴を言いながら通り過ぎた。


「さて、何処に行こうか」


「何言ってる、ギルドだろう。

お金もあまりないのに、行くとこ無いだろう。

それより、クエスト早く受けてレベル上げしたい」


「ギルドって何処だろう」


「おい、翔、抜けてるな。

マップで確認すればいいじゃないか」


「そうだった」


メニューを開き、マップを確認する。


『ギルド、ギルド、ギルドは何処かなぁ』


「あった、このまま大通りをまっすぐ行って、左に曲がり少し行った所だ」


「よし、レッツゴー」


何だか張り切っている隼人だが、何に浮かれているのか。


「何で浮かれてる、隼人」


「それは、こんな大きな街だから、人も多い、その分出会いもある」


「さっきレベル上げって言ってなかったか、結局、ナンパ目的かよ」


「いや、目的はあくまでクエスト受けることで、ナンパはその次いで、例えば、そこのかどを曲がると女の子とぶつかり恋に落ちるなんて」


「ベタだな、恋愛ものに有りがち」


そんな事、話しながら角を曲がると、


『ドン』


「いてっ」


僕は、出会い頭に誰かとぶつかったようだ。

年は、同じくらい金髪でショートカット、最初女性かと思ったが、顔立ちのいいイケメン男性みたいだ。

何処かの学生服みたいなブルゾンにチェックのズボン下をはいている。

ぶつかった衝撃で、二人とも尻餅しりもちをついていた。


「大丈夫?」


「ゴメン、急いでいるから」


相手の男性は急いでいたのか、何事も無かったかのように慌てて立ち上がり、その場から立ち去った。


「翔、ベタな出会いだな、男だけど」


隼人は笑っている。


「うるさい、笑うな」


僕は立ち上がろとした時、地面に何か光る物に気が付いた。

よく見ると、ブローチだった。

大きさは5センチ位、桜の花びらのようなデザインで真ん中に紫色の宝石みたいなのが付いている。


「これ、あの子の落とし物かな」


「たぶんな」


「どうしよう」


「あとを追うか?」


話をしていると、強面こわもての男たち四人がやってくる。


「どけ、どけどけ」


「邪魔だ」


「おう、貴様ら、金髪の小僧見なかったか?」


「いいえ、見てません」


「くそ、何処行きやがった、探せ」


男達は、去っていく、つい嘘をついたがよかったのだろうか。


「怖~」


「つい、びびってしまう」


「男の子探した方がさそうだな」


「そうだね、あとから追いかけてる方がいかにも悪者そうだから」


「どうやって探す?」


「そうだね…、精霊に探して貰うか」


精霊達を心の中で呼び掛ける。


「呼んだ、マスター」


「ご主人様、御用ですか」


「すまないが、今僕の頭の中に浮かんでる男の子を探して欲しいんだ」


「わかりました、行ってきます」


精霊達はそれぞれ四方へと飛んでいった。

暫くすると、エアルが戻ってきて、


「マスター、見つけました。

でも、早くしないと変な四人組に追われてます」


「ありがとう、そこまで案内してくれ」


「ハーイ、案内します。こっちです」


大通りから、狭い路地に入り、入り組んだ道をひたすら走り抜ける。

間に合うだろうか、どうして追われているのか気になりながら駆け抜けていく。

辺りはだんだん人気ひとけの無い街外となり、古びた建物が並ぶ入り組んだ場所になっていた。

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