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38 決闘前日

ゴンゲン山で、数日野宿しながら狩りを行っていた。

僕のレベルは46まで上がっていたが、番長のレベルまでは、まだまだ全然足りない。


「決闘まで、あと一週間になったでござるが、どうするでござるか?

もう少しここで狩りをするか、別の場所で狩りをするかでござるが…」


「そうですね、狩りをするより、ムラサメさん一緒に組手くみてしてもらえませんか?」


「組手でござるか、剣と剣でやるでござるか?」


「いえ、出来れば素手すででお願いします。」


「番長との、決闘も素手でやるつもりでござるか?」


「出来れば、同じ世界の人間だから殺し合いはやりたくないと言うのが本音ですかね」


「自分はそうかも知れないでござるが、相手は殺すつもりで来るでござるよ」


「それでも、やっぱり…」


「彼女達は、傷つけられてるでござるよ」


「そ、そうですが…」


「まぁ、それが翔くんの良いところかも知れないでござる。

でも、死んでしまったら終わりでござる。

守れる者も守れなくなるから、それだけは心の隅に留めて置くでござる」


「分かりました」


「それじゃ、拠点フルールイルに戻って残り時間を、みっちり組手をするでごさる。」


拠点まで徒歩で二時間、途中の街道でも魔物は出たが、いつの間にか僕はこの辺りの魔物を楽に倒せるようになっていた。

気付かない間に自分でも驚くほど強くなっていると実感出来る。

だけど自信過剰はいけない。

油断して足をすくわれるかもしれない。

それにそれでも番長に勝てるとは到底思えなかった。


拠点に帰るのは久しぶりになるが、まるで自分の実家に帰るような気分になっていた。

帰る所はこの世界にはここしかないのだから、第二の故郷とでも呼ぶのだろうか。


自宅に戻ると、仲間の皆が喜んで迎えてくれた。

思わず感無量となり、涙が溢れそうになる。

僕の事を心配してくれる。

そして僕の事を待っていてくれる。

不意に自分の居場所を見つけたと思った瞬間だった。


いつも一人でいるのを好み、回りに溶け込めず孤独だった僕だけど、この世界に来て少しずつ変わって来ているのかも知れない。

今は、この仲間達がいるのが当たり前になり、家に帰るといつも迎え入れてくれる。

この世界での家族のようなものになっていた。

この仲間とこの居場所を守る為に頑張らなくては、もっともっと強くなりたいと願った。


次の日から朝は瞑想、そのあとムラサメさんと組手の練習を昼まで行い、昼食のあと精霊達との連携の練習、夕方から日が暮れるまでイメージトレーニング、番長との決闘をイメージしながら戦っていた。それを決闘前日まで繰り返した。


「どう、翔くん、勝てる見込みはあるでござるか?」


「何度イメージトレーニングしても負けるイメージしか浮かばないんです」  


「それほど番長という存在が大きいという事でござるよ。

過去のイメージなのか…、ただ気負いしたら勝てる試合も負けるでござるよ」

 

「そうですよね」


ムラサメさんの言う通り、番長というイメージが大きいのだろう。

学校で1番強いし、ケンカで負けたと聞いた事をなど無い。

でも人望が高く仲間思いだと聞いていたが、元世界の人間というだけでは、僕達は仲間ではないのだろうか?

それともこの異世界が番長を変えたのだろうか?

1度きちんと聞いてみたいと思ったが、それは戦った後、生き残った時の話だろう。


「レベル差はあると思いますが、やってみます」


「翔は、かなりレベル上がったからな、俺なんて一気に抜かれてしまったな」


隼人が少し呆れたように話した。


「でも何で番長、街に入れたのかな」


「何でって、どういう意味なんだ、沙羅」


「だって番長は、山賊なんでしよ。

門番が居るなら罪をおかした人は入れないはずでしょ」


「それもそうだな」


「考えられるのは、罪を犯していないでござるか、街の誰かとつるんでる、または、門番に賄賂を渡しているとか考えられるとか、いろいろ考えられるでござるよ」


「なるほど」


「そんな事考えるより明日に備えて、今日はゆっくり休むでござるよ」


僕はムラサメさんに言われ、早めにベッドに横になり眠りにつこうとしたが、明日のことが気になりなかなか眠れない。

ベッドには、3人の精霊が同じベッドで寝ている。

すでに3人とも、すやすやと眠りにいている。

幼獣のアナンタは、窓際にふかふかの干し草を寝床にして寝ている。

なかなかなか眠れないのに、起こしてやろうかと思うほどうらやましい。

精霊達の頬っぺたを突っついて見た。


「もう食べれません、むにゃむにゃ」


夢の中で何を食べているのだろうか、大人しい精霊達の寝顔は可愛いのに、そう思いながら精霊達の寝顔に癒されていた。

元世界の事、異世界に来てからの事、そして番長の事、いろいろ考えているうちに、いつの間にか寝ていたらしく気付いたら朝を迎えていた。




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