31 オーク
僕とオークの距離が縮まるとオークの棍棒が、僕に目掛けて振り下ろされる。
僕はそれを横にステップ移動して交わす。
僕の横を風切り音をたてながら、棍棒が通り過ぎていく。
オークの棍棒は空を切り、そのまま地面を叩き付けた。
『ドーーーーン』
地面には穴が空き、砂埃が舞い上がる。
その威力に身震いしてしまう。
オークの攻撃を食らえば一撃で僕は即死だろう。
だけどオークの攻撃は見えている。
僕が強くなったのか、それともオークの動きが遅いのか...。
番長に比べたら多分動きは遅いだろう。
番長に比べたら、見た目はあまり恐くない。
優ってる部分といえば、身体が番長より数倍大きい。
筋力も人間と比べると数倍はあるだろう。
だからコイツを倒す事が出来れば、多少は番長との戦いに自信が持てるような気がした。
僕は地面に叩き付けたままのオークを横目に、剣でオークの横腹を切りつけ、オークの後方へとすり抜ける。
人型のモンスターを切るには、やはり抵抗がある。
だが慣れないと番長を傷付ける事は出来ないだろう。
だが、『硬い!!』
横腹には防具を着けていなかったので切り裂けると思ったが、剣で切れたのは皮一枚切っただけだった。
そのままオークの後ろから、剣で背中を突いてみたがやはり硬過ぎて深く突き刺さらない。
僕の力不足か?
無理に押し切ろうとすると剣が折れそうな軋み音がしていたので、オークから距離を取り体勢を整えた。
『魔法を試してみるか?』
「エアル、アルケー攻撃お願い!!」
「はーい」
「はいなー」
それぞれエアルは風で切り裂き、アルケーも高圧水で貫通させようとするが、オークの体は硬く深く傷つけることができない。
前に考えていた1つを試してみるか。
アルケーを呼び相談する。
「剣に水を纏わせる事出来る?」
「はいなー、できますよ」
アルケーが剣に触れたと思ったら、水が剣に絡みついているのが分かる。
「水を、振動させることは?」
「やってみる」
剣にまとわりついている水が波うっているのが、確認出来る。
「これで、やってみるか」
僕はオークに近づき、水を纏った剣で横腹を切り裂いてみた。
手に肉を裂く鈍い感覚が伝わってくる。
先ほどとは違い、横腹を深く傷付けオークの身体から青い液体が流れ出た。
オークの血なのだろうか?
剣に付いている水が超音波のように細かく震え、ノコギリのような役割をしていた。
普通に切るつもりで剣を振るったがオークに深い傷を負わせることに成功した。





