30 30階層突入
21階層に降りてを進んでいるが魔物が全く現れない。
マップで確認するが魔物がほとんど居ない事が確認できる。
「魔物が全然居ませんね」
「ダンジョン自体が終わっているかも知れないでござるな」
ダンジョンが終わっている?
それはどういう事だろうか?
アルケーが、
「マスター、地下に潜って行くにつれてエネルギーがだんだん少なくなっているみたいです~」
「もしかするとダンジョンキュレーターが居ないか、エネルギーの供給が断たれているかのどちらかでござるな」
「ダンジョンキュレーターって、何ですか?」
「まぁ、ダンジョンの管理人って事でござるな、管理人が居ないとダンジョンは維持できないからでござる」
「なるほど、そのどちらかの為、このダンジョンはもう死んでいるという事ですか...、ならここは諦めて次の場所へ向かいますか?」
「...いや、ここは最下層まで降りて原因を確めた方がいいでござる。
魔物は、そんなに居ないでござるから、少し急いで降りてみるでござる」
僕はモンスターが居ないなら、他の所へ行ってレベル上げをしたいのに...、いや、焦りは禁物だ。
ムラサメさんに注意されたばかりというのに気を付けなければ。
ムラサメさんの言う事だから、きっと何か理由があるはずだ。
ダンジョンの中を僕達は駆け抜けていく。
マップで確認しながら走っているので、まず奇襲を受けることはないだろうし、通路は迷路ではなく一本道。
これもダンジョンが終わりかけている所為だろうか?
ふと、ダンジョンの終わりとはどうなるのか不安になった。
終わりと同時にダンジョンが潰れ、通路が塞がれ逃げ場を失った僕達は生き埋めになるなんて洒落にならない。
一刻も早く脱出した方が良いのではないかと考えてしまう。
でもムラサメさんは何も言わず地下に向かって走っていく。
僕は、後を付いて行くしかなかった。
途中にいた魔物は、オークではなくゴブリンだけ、数匹のみしか居なかった。
戦闘時は僕がムラサメさんと入れ替わり、僕がゴブリンを倒していった。
魔物も少なく迷路になっていなかったので1時間ほどで29階層までやって来ていた。
「さぁ、次が最下層でござる」
「意外と楽勝ですね」
「油断大敵でござる。
油断して隙をつかれないように、最後に立っていた者が勝者になるでござる。」
「はい、すいません。
油断しないよう気をつけます」
「わかればいいでござる。
気を引き締めて、30階層へ降りるでござる」
「わかりました」
下り坂を降りていくと、広い空間に出た。
今までと違い30階層がまるまる広い空間になっており、壁が何やら光っているように見える。
一番奥のほうに、何か祭壇らしきものがある。
そして広い空間の中心辺りにオークが1匹こちらを見ている。
高さ三メートル、身体は緑色で巨大ゴリラみたいな体格に、顔は豚のような顔、口から大きな牙が左右二本はえていた。
オークは、こちらに気付くと威嚇するように大声を上げた。
「ヴォーーーーーー!!」
と吠えて、棍棒を握りしめて、こちらに向かって走ってくる。
「翔くん」
「はい」
僕も剣を握り締めてオークに向かって走り出していた。