299 トニー
「や、やめろ」
「早くしないと全体が石になってしまうぞ」
「頼むから、石化だけは止めてくれ」
「それなら早く質問に答えな」
「そ、それだけは…、」
「じゃあ、石だな」
「わぁー、ちょっと待ってくれ。
分かったよ、俺の負けだ。
分かる事話すから許してくれ」
「まず、何でこの食堂に嫌がらせをしているか」
「俺達は、上からの命令に従っているだから、詳しい事は知らねーが、何でもある貴族がこの食堂で食事をした時、
美味しすぎてお抱え料理人にならないかと、誘ったらしいんだが、ここの料理人は断ったらしい。
それでも貴族は、諦めきれずに店が無くなれば、職が無くなり貴族の誘いに乗るだろうと考え、その依頼をうちが受けたから、客が来ないように嫌がらせをしてたんだ」
「なるほど、ではその貴族とは誰だ」
「そこまでは知りません。
ほ、本当です。
俺ら、下っ端の人間には重要な事は言わず、命令に従うだけですから」
「お前達の集団はなんだ」
「知らないのですか、この辺りでは結構、有名ですけどね」
「だから、僕達はこの国に来たばかりだから何も分からないんだよ」
「そうですか、国の外までは名前売れてないないのか。」
「それで何なんだ」
「あっしらは、泣く子も黙るキューズ傭兵団だ」
「それで、この中ではお前がリーダー格なのか」
「はい、取り敢えず」
「お前、名前は」
「はい、トニーだ」
「それじゃ、トニー、お前、ちょっと一緒に来い」
「え、これから何をするつもりですか」
「さあな」
少し僕はトニーをからかいながら、石化を止め石の手錠をかけた。
トニーは蹲り肩を震わせていた。
これから起こる事に不安と恐怖で、一杯なのだろう。
これから起こる事に、拷問される事を前提に考えているだろうけど、多分しないだろう。
場合によってはするかも知れないが、僕はトニーを引きずるように歩かせ、食堂へと戻ることにした。
やっと飯が食べれると考えるとヨダレが出てきそうだ。
今は早く食堂に行き食事の続きがしたいそれだけだった。





