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296 昼食

この街は、気候がナーガ国と違う所為だろうか。

すれ違う人達の服装は、殆どが半袖半ズボン、草履姿でその他は冒険者や傭兵達で防具を身に付けているので、見分けがつけやすい。

建物は風通しがいいように、竹のような物を組み合わせて作られており、平屋建てがほとんどだった。

道の脇には出店が並んでおり、いろいろな物が売り出されていた。

果物、野菜、魚など見たことの無いような物ばかりだったので、食べられるのかどうか不安だった。


「ご主人様、お腹空いた」


不意に後ろから声がしたので振り向くとそこには精霊達が人の姿で立っていた。

いつの間に人の姿になったのだろうか、周りには気付かれていないだろうか。

僕は周りを確認したが、こちらを気にしている者などいなかったので、大丈夫だと思いたい。


「お前達、ここはもうナーガ国ではないのだから、周りに気を付けろよ」


僕は小声でちょっと注意した。


「だってお腹空いたし、珍しい食べ物置いてあるから」


「ご主人様、なかなか呼んでくれないから」


「それは済まなかったな、でも人の姿に変わるときは周りにバレないようにしてくれ」


「は~い、気をつけま~す。

だから、ご飯~」


「仕様がないな、折角だから何か食べるか、資金は沢山あるし」


「やった~、ご飯、ご飯、ご飯」


僕達はどの食堂に入るか、迷っていた。

街には食堂も何軒かあったが、どうせ食べるなら美味しい所で食べたい、そう思いながら悩んでいた。

どこも繁盛して座る席も無いような所もあるが、席も空かないなら、かなり美味しいだろうと狙っていたが、精霊達が待てないと駄々を捏ねるので、席の空いている所を探していた。

まぁ、一時はここを拠点に動くだろうから、全てを食べ回ってもいいかなと思っていた。


暫く歩くと一軒の食堂を見つけた。

中はガラガラで客は誰も居ない。

店の感じは質素だが、汚れた感じや寂れた感じはなく、わりかし綺麗かなぁ

でも誰も居ない、準備中なのか、それもよっぽど不味いのか。


「ご主人様、ここにしましょう」


「え、ここ大丈夫?」


「何がですか~」


「誰も居ないという事は、美味しくないかも知れないし」


「ダーリン、大丈夫ですわ。

ここは美味しいそうな匂いがしますもの」


匂いを嗅ぐと、確かに美味しそうな匂いがする。


「さぁ、ご主人様、入りましょう」


「ちょっと」


僕達は精霊達に押されなが、店内に入った。

店の中も殺風景、席は50人分くらいか、観葉植物が席毎に置かれていた。


「いらっしゃいませ」


店に入ると、暗く低い声で聞き取り難かったがそう聞こえた。

見ると若い女性、年齢は20前後くらいでソバカスが印象的な人が出てきた。


「あの~、食事をしたいのですが」


女性は何も言わず、席に案内する。

女性はそのまま、奥へと入って行った。


「翔、ちょっと愛想悪くないか」


「隼人、それは僕も思う」


「店、変えた方が良くないか」


「でも潤、席、座ってしまったし」


「今ならまだ注文してないし、出ていっても文句は言われないだろう」


そんな話をしていると、奥から女性がコップと水差し、メニュー表を持ってきた。

コップを皆の前に置き水を注いでいく。

そしてメニュー表と手で振って鳴らすベルを置き、去っていく。

注文したら、このベルで鳴らせと言うことか、メニュー表を見たが名前と料金しか書いてなかったので、ベルを鳴らし適当に、そしていつもの如く大量に料理を注文した。


料理が来る間、コップに注がれた水を飲むと、『美味しい』普通の水では無いような、そうまるでミネラルウォーターのような水なのに甘く美味しい。

この国の気候の所為で、喉が渇いていたのか、いや、それにしてはこの水は美味しく力が湧いてくるような気がした。


美味しい水に舌鼓をうっていた時、入り口から厳ついおっさん達20人くらいが入ってきて、僕達の周りを囲むように座った。

何だかこちらに睨みをきかせているような気がするが、向こうから言ってこない間は無視しようと思っていた。


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