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291 宴会2

日が暮れ初め、魔法によって明かりが灯される。

テーブルの上には既に料理とお酒が並べられ、宴の開始を待つだけだった。

精霊達、アナンタも人の姿で隣に並んでいる。

ラウージャはお偉いさん達と表舞台の席に並んで座っていた。

僕達は仲間と一緒に、目立たないように隅の端の方に固まって座ることにした。

ここなら、いくら騒いでも、沢山食べても言われることはないだろう。

端だから、すぐに料理持ってきてもらえるし、意外と良い場所を確保したと思っている。

そしてラウージャの挨拶が始まった。


「ナーガ国の兵士達よ。まずはお疲れ様。

無事、ネイロ帝国を追い返し2つの街を手に入れた。

これも皆のお陰だ。

残念ながら亡くなった者、負傷した者などいるが、ここで感謝の念を送る。

皆にも平等に報奨金を与える。

更に活躍した者には、更なる恩賞を与える。

今宵は、全てを忘れ食べて飲み明かしてくれ」


「うぉ~~」


周りの歓声が凄く、耳の中まで鳴り響いていた。

ラウージャの挨拶が終わり、宴が始まった。

さぁ大食い大会の始まりだ。

今回の料理は珍しい物というが、元の世界にあった料理に似ている物ばかりだった。

地域でそれぞれ特色が違うのだろうか。

ポテトサラダ、焼き鳥、鳥の丸焼き、コンソメスープ、僕もあれこれ食べたいけど全部食べると直ぐお腹一杯になるしな。


「翔くん、食べないの?無くなってしまうわよ」


沙羅の声に気がつき、周りを見ると精霊達とアナンタが片っ端から平らげて行く。

それも凄い勢いで、確かに考えて食べていたら食い損ねると感じ、僕も食べたい物から順に食べていった。

仲間とお酒を酌み交わしながら、この世界に来てあまり話さなくなった元の世界の事を、料理の味の所為で思いだし、元の世界の話で盛り上がっていた。

元の世界に帰れないからと言って悲しむ者はこの中には居なかった。

だって仲間が居るから、そう思えるようになってきた。


「翔、お疲れ」


あれ、いつの間にかラウージャが隣の席に座っていた。


「ラウージャ、自分の席に座ってなくて良いのか」


「ああ、大丈夫。皆、酔っているし、他にラウードやバーティン、その他幹部様が居るから、僕が居なくても分からないさ」


いや、分かるでしょ。ラウージャがこの中のトップでしょ。

幾らなんでも気付くと思っていたが、僕の周りの兵士達は、僕の隣に座っているのがラウージャと気付いていないようで、それぞれ固まって飲み明かしていた。


「気付いていないようだな」


「だろ、翔、まぁ、飲んでくれ」


「ラウージャ、もう酔っているのか」


「ああ、あの席に座っていると皆が注ぎにくるから、逃げてきた」


「逃げてきた?でも僕がここに居ること良く分かりましたね」


「それは、たまたま逃げてきた所に翔がいた、それだけ」


「たまたまかよ」


「たまたまだけど、個人的に話がしたくてな、探そうと思っていた所だった」


「いきなり何だよ。話なんてちょっと大袈裟じゃないか」


「まぁ、聞いてくれ、翔。

今回の戦いにおいて、翔は数々の武勲を立てた。

それも英雄と呼ばれるに相応しいほどに」


「ラウージャ、それは言いすぎだよ」


「いや、実際、お前の部下になりたいという兵士達が数多く居ること知っているか」


「初耳だけど」


「爵位を上げて、英雄に相応しい将の位も与えようという動きがある一方で、権限が上がれば自分の存在を危ぶむ声があり反対しているんた」


成る程、ガクシン将軍が言いたかった事はこのことかな。

政治に利用され板挟みにされる。

もしかすると僕を暗殺しようと狙ってくる人物もいるかも知れない。

ディメンションルームの中に隠れているか。


「僕は国にはあまり興味がないんだ。

だって国の偉い人の考えなんて分からないし、僕はただ仲間とそしてこの異世界で知り合った人達と平和に静かに過ごしたいだけなんだ」


「なら、今回の事はかなり巻き込んでしまったな」


「本当だよ、だから暫く休みをもらうから」


「何、するんだ」


「千年の森に行く途中だったから、取り敢えずそこに向かう」


「分かったよ、でも絶対ナーガ国に戻って来てくれよ」


「勿論だよ、この国にはお世話になった人が沢山居るからね」


「翔、気を付けて行ってこいよ。

幹部達には上手く言っとくから」


「ああ、暫くお別れだな」


「じゃあな」


ラウージャは人混みの中に消えていった。

皆はどうするか聞いとかないといけないな。

そう思いながら、言うタイミングが会わず時間だけが過ぎていた。


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