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290 宴1

「翔、僕達は今回のネイロ帝国との戦争の事、主に2つの街の自治権と今回の功労賞、恩賞などを決める為、会議を開くから、翔は街でのんびりとしていてくれ」


「のんびりと言われても」


「この街は広いし珍しい物も沢山あるようだから、ラウサージュ達とお店を回っても楽しいと思うけどな」


「聞いてみるよ」


「それじゃまた後で」


そう言うとラウージャとバーティンは領主邸の中へ入っていった。

さてと、皆にどうするか聞いてみるか。

ディメンションルームの扉を開き、自分達の部屋に入ると、ラウサージュから思いがけない言葉が飛んできた。


「翔くん、あまりにも酷いです」


「え、何が?」


突然の言葉に一体何の事を言っているのか分からなかったが、ミディアが、


「ミネルバ姫の事です」


ディメンションルーム内から会談の様子を見ていたのだろう。

僕は国に返したので、これで良かったと思っていたが二人して思いもよらぬ発言だった。


「ネイロ帝国に返した事?」


「そうです」


「だってそれは会談で決まった事だし、僕ではどうしようもないよ」


「奪ってしまえば良かったのに」


「ラウサージュ、そういう事したら会談は破談になって、また戦争が始まるかも知れないんだぞ」


「そういう事にはならないわ」


「沙羅、どうしてそう言いきれる」


「チュー助の情報によると、ネイロ帝国が東側の国から攻められて、ナーガ国と挟撃されていた状態だったの、ナーガ国より東側の国の方が脅威で、ナーガ国はいつでも攻め落とせるから、まずは戦力を東側に集め追い返そうとしているらしいわ。

だからナーガ国との会談は破談には出来ないはず」


成る程、それでネイロ帝国の兵士達は慌ててたのか。


「でも、ミネルバ姫を奪っても、これ以上嫁候補増やさない方が良いんじゃなかった」


「それとこれとは別よ。

王家の人間は良く分かるわ。

好きでもない男と政略結婚させられて、それまで王宮の中で、大事に育てられる。

まるで鳥籠の中の小鳥よ。

一度くらいは恋をして、好きな男性が迎えに来てくれるのを待っているわ。

夢の中でも何度も見るくらい憧れているわ」


「でもラウサージュもミディアも、僕との出会いそんな物では無かったのでは…、」


「さっきの話は憧れよ。だけどね、翔くんとの出会いは運命を感じたの、だから、少しずつ好きになっていったの」


「私もそうです。敗戦国の王女なんて、ただの慰み者になったり、死刑になったり、とても怖かったの。

でも翔様に会えて良かったと思います」


「ミディア」


「だから、ミネルバ姫を迎えに行きましょう」


「うーん、行きたいが僕の一存では決められないな、最悪、国同士の戦争の引き金になるかも知れないし、取り敢えずラウージャに相談して決めるよ」


「私達の事は気にしないで、翔くんのやりたいようにやってよ」


「分かったよ、沙羅」


「それじゃ、ショッピングに行きますか」


「なんだ、いきなり元気出してどうした、空」


「だって翔くん落ち込んでいるみたいだから、周りが明るくしないとね」


「ありがとう、空」


僕達は皆でショッピングに出掛けた。

日用品などの買い出し、そして書物、魔法の書、合成の書物、そして歴史の書物など買っていく。

確かにこの街は珍しい物が沢山あった。

例えばラーメン、この街にもお店が出ていた。

皆でお店に入りラーメンを注文する。

残念ながら豚骨ラーメンしかなかったが、皆、黙々と食べていた。

味は元の世界とほとんど変わらない味だった。

もしかすると僕達と同じ世界で生きた人がこの異世界に飛ばされてラーメンを伝えたのではないかと想像を膨らませていた。

周りの仲間達を見ると元の世界の事を思い出しているのだろうか、沙羅、空と博は目に涙を浮かべ、隼人と潤は競い合うようにラーメンをお代わりしていた。

他にもいろいろな食べ物があったけど、夜になるとまた宴会をすると言っていたので、食べ物は我慢して日がくれるまで歩き回り、お腹を減らしていた。


日が暮れ始めたので、広場に向かうと多くの兵士達で賑わっていた。

ほとんどの兵は自分達の領地へと帰って行ったが、チョウサイの街とキュウリュウベイにそれぞれ2万人の兵が防衛に当たっていた。

その中でもチョウサイの街の防衛に5000人の兵士が当たり、残りの15000人の兵士が広場に集まり、宴が始まるのを待っていた。


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