281 チョウサイの街
結局、何事もなくチョウサイので街に着いた。
護衛を付けたのは無駄じゃなかったのかと思っていたら、護衛の人がこれだけ精鋭騎士に守られていたら、迂闊に手を出すことは出来ないだろうということだった。
護衛を付けたのは間違いがなかったと思いたいところだ。
壊された城門を過ぎ、街中を過ぎて中央区にやって来た。
前回は、ちょっと押し問答があったけど、今回は姫を連れてくるのに話がちゃんと通っていたし、顔を覚えていたこともあり、すんなりと通してもらえた。
領主邸に行くとラウージャとラウードが出迎えてくれた。
「翔、お疲れ、そちらがお姫様か」
「はい、ミネルバ姫と執事のネイバンさんに、ガクシン将軍です」
「これはこれは、わざわざお越し頂いてありがとうございます。
和平交渉は明日になっておりますので、今日はこちらで、ごゆりとお過ごしください」
「済まぬの、暫く世話になる」
「それではメイドを一人ずつ付けますので、何か有ればご用命ください」
「わらわは、執事がいるからメイドは必要ないの」
「姫の世話は執事の私めの仕事ですから、私から必要が有れば伝えたいのですが構いませんか?」
「それは構いませんが」
「俺もメイドは要らぬが、あと外は勝手に歩き回って良いのか?」
「念のため護衛をつけさせてもらいます」
「護衛と言いながら、見張りと言うことか、まあ構わないが夕食まで少し外の空気を吸って来るから」
「わらわも外に行きたいけど、そうじゃ、護衛は翔様が良いけどどうじゃ」
ラウードとラウージャは僕の方を見ているが、僕も姫の子守りより今日は疲れたのでディメンションルームでゆっくりと休みたかった。
はぁ~、仕方がないか、
「分かりました。僕が護衛に付きましょう」
「頼んだよ、翔」
僕とミネルバ姫、ネイバンさんは街へと出掛けていった。
この街も復旧作業が行われており、ナーガ兵達が手伝いながら建物、城門、道などを復旧させていた。
何万者の兵士達が手伝っていたため、復旧するまでそんなに日数はかからないだろう。
街の中を歩いていると、セレナさん、ミレナさん、エレナさんが反対側から歩いて来ていた。
「おや、翔くんも戻って来ていたの」
「はい、さっき戻って来ました」
「隣の人は見かけないだろう人だけど、もしかしてミネルバ姫?」
「はい、そうです」
「ふーん」
セレナさんはミネルバ姫をじろじろと見ていた。
「わらわが何か珍しいか」
「あ、ごめんなさい。そんな訳ではないのだけど、凄い服装来ているなと思って」
「これは、わらわの趣味だ。とやかく言われるか必要はない」
「そうよね、ごめんなさい。
ところで仲間達は?」
「多分、バンブーテイルでの負傷者の手伝いで疲れて寝ているのではないでしょうか。」
「そうなの、それじゃ明日の夜、無事に和平交渉が済んだら宴会するから伝えておいてね」
「分かりました」
「またね」
セレナさん達は、人混みの中へと消えていった。
「何じゃ、宴会だとわらわも行きたい」
「その時は、もう母国に帰るでしょう」
「ウムム、じぃ、どうにか…、」
「それは無理な相談でしょう」
「ネイロ帝国に帰ってから宴会やればいいじゃない」
「帰ったら、自由に出来ないから今のうちやりたいの」
「宴会は無理だしな」
「仕様がないから、今は食べ歩くわよ」
「はいはい」
復旧作業をしている中を開いているお店を探して放浪するのでした。





