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28 ゴブリン

次の日、僕は時間が分からないまま起こされ、ムラサメさんと一緒に瞑想し、朝食を取っていた。

やっぱり太陽の光が無いと今、本当に朝なのか?と疑いたくなる。僕の体内時計はまだ眠りたいと言っているようで、朝食を取りながらウトウトしていたが、まさかムラサメさんが朝だと言って騙す訳ないし、騙すメリットも無いはずだ。


朝食を済ませ後片付けをして早々《そうそう》に6階層に降りていた。


「6階層から10階層までゴブリンのみかになっているでござる。

下に行くにれて強力な武器や防具を持ったり、頭のいいゴブリンが多くなるから気をつけるでござる。」


6階層は今までの迷路と違い、通路は大きく外側から中心に向かって時計回りに一本道になっている。

進んでいると通路の先にゴブリンが2匹いるのを発見した。

まだこちらには気が付いていないようだ。


「2匹いけるでござるか?」


「やってみます」


1人で少しずつゴブリンに近づいていく。

身長は1メートルくらいだろうか、身体からだは緑色で目は丸く大きいで棍棒こんぼうを持っている。

ゴブリンまであと20メートルほどの所で1匹のゴブリンがこちらに気がついた。

見た目はまるで人間の子供のようにも見える。

今まで倒してきた者は、食べる為の獲物、またはモンスターと割りきって来たけど、今回はモンスターと言っても人型だ。

僕はゴブリンを殺す事が出来るだろうか?

僕にとっては人を倒して殺す、人殺しのように思える。

いつの間にか剣を握る手が震えていた。

殺らなきゃ殺られると分かっているけど、それでも僕は...。


「翔!」


「!?」


ムラサメさんの声でハッと気付いた。

もう目の前までゴブリンはやって来ていた。

殺るしかないのか、僕は勇気を振り絞り剣を強く握りしめ構えた。

ゴブリンは棍棒をかかげて襲いかかってくるが、動作が遅い。

僕の方が早そうだ。

僕は素早く近づき横一線に剣を切りつける。

手に鈍い感覚が伝わる。

感覚は普通に獲物を狩る時と変わらないと割りきっていたが、やはりこれは...、返り血が僕に降り注いでいた。

もう一体も目の前まで来ている。

すかさず、もう1匹のゴブリンを突き刺す。

鈍い感覚、獲物を狩る時と同じなんだけど、やはり人型を斬るには抵抗がある。

でも慣れていかないと番長との対決でも剣を振るう事が出来ないかも知れない。

2匹は霧散して消え去る。

『ハハハハ、そうさモンスターだから消えるのは当たり前か...、人間じゃないし』

でもこれが人間だったら、地面に横たわったまま残るんだろうな。

何故か、自分が地面に横たわり血を流し死んでいる姿が写し出される。

殺らなきゃ、次は僕の番かも知れない。


僕が立ったまま呆然としていた時、弓矢ゆみやが何処からか飛んでくる。


「あぶない!マスター」


アルケーが水の壁で弓矢を塞ぎ、そしてエアルが弓矢の飛んできた方向にいるゴブリンを風で切り裂いた。


「ありがとう、エアル、アルケー」


「どういたしまして」


油断大敵ゆだんたいてきでござる。

回りが見えていないでござるな、1匹倒してもまだ敵がいるかも知れないから油断しないことでござる」


「はい、すいません」


そういえばマップ機能の追加スキルの中にレーダーがあった。

名前からして探知機のはず、何かを探すには便利そうだけど、レーダースキルを習得するとマップの中に敵が赤い点滅で見えるようになった。

範囲はダンジョン内で100メートルくらいか、見えない所までモンスターの探知能力が広がった。

これはかなり便利だ、敵の居場所が一目瞭然いちもくりょうぜんだし、まずこれなら敵が近いて来ても奇襲きしゅうされることはまずないだろう。

マップで敵の位置を確認しながら進む。

この先にゴブリンが10匹ほどが纏まっている。


「数がちょっと多いか?」


「まかせて、マスター」


とアルケーが言ったかという瞬間、空中に大量の水があふれ出た。

大量の水はダンジョン一杯に溢れ、濁流となって敵に襲いかかる。

敵は水にまれながら押し流され、そのまま消えて行った。

ゴブリンもダンジョンで水に溺れるとは思っていなかっただろう。

経験値は入ってるので、倒した事になっているんだろう。

僕達は、敵のいなくなった道を先へと進んでく。




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