269 捕虜
暫くすると、爺が戻って来た。
「準備は整いましたが、降伏するにあたって兵士達に説明をお願いいたいのですが」
「爺、分かった。翔殿、わらわの後を付い来るのじゃ」
爺が先頭で、その後ろにミネルバ姫、そして僕と連なって歩いている。
エレベーターに乗り、発着場の下にある格納庫でエレベーターを降り、空中戦艦の中をぐるぐると歩いていく。
一人で歩くと迷ってしまいそうになるくらい、入り組んでいたし、中は思った以上に広い。
こんなに広く部屋が沢山有るのに、偉く静かだった。
兵士に説明をすると言っていたが、そもそも兵士は乗っているのだろうか。
それとも数が少ないのか、そう思っていた。
長い廊下の突き当たりに大きな扉があった。
扉を開け中に入ると、かなり広い空間の二階席部分に出た。
一階部分を見てみたら、そこには兵士達がギュウギュウ詰めで静かに待っていた。
ラウージャの隊と変わらないくらい人がいたので2万人くらいの兵士は居るだろうか。
この兵士達が攻撃に参加したら、更に此方の状況が悪くなるだろう。
でも、ミネルバ姫は降伏を受け入れてくれた。
「済まない、兵士諸君。
空中戦艦は落とされ、ガクシンが倒されてしまった」
兵士達は一斉にざわめき出した。
ガクシンが倒される事があり得ないというような状態だった。
更にミネルバ姫は話を続けた。
「これも1人の男、この翔殿がやったことだ。
これ以上犠牲を出すわけにいかないので、降伏勧告を受理した。
ここまでわざわざ来た兵士達には、申し訳ないが、わらわは翔殿に連れて行かれる事になった。
兵士達諸君は、この空中戦艦で待機、白旗をあげ空中戦艦の修理に全力をあげてほしい。
わらわの事は翔殿が居るから心配することはないから、皆、のんびりと過ごしてくれ、以上だ」
それだけ言うと、もと来た扉から出ていく。
その際、ミネルバ姫は僕に向かって、人差し指をクイクイとしていた。
こっちへ来いということか。
僕はミネルバ姫と爺の後を付いて行く。
先ほどとは違う近くにあったエレベーターを乗り一番最下層まで行き、そこで降りた。
そこは貨物室のようだ。
荷物が沢山並べられており、側面の扉が開いて外の光が中に射し込んでいた。
そこにあったのは馬四頭に繋がっている豪華な馬車が用意されており、馬車の大きさも小型20人くらいのマイクロバスの大きさはあるだろう。
そしてそこにいたのは、倒したはずのガクシンがいた。





