268 ミネルバ姫
僕はマップで位置を確認しながら走っていた。
王女は、まだ最上階にいるようだ。
それともう1人、隣に居るようだが更にガクシンより強い人物なら、どうしようかと考えていたがレベルを見てみると、
王女のレベルは160、隣に居る人物はレベル120、レベルで判断してはいけないが、僕よりもレベルは低い。
だが、どんな特有のスキルを持っているか分からないので油断しないようにしないと…。
それに王女なのに、レベル160って高くないか。
王女も戦闘系の人物だろうか。
意外と強敵は王女かも知れない。
僕は最上階まで飛んだ。
下の方は黒い煙や土埃で、ほとんど見えなかったが、上の方は土埃は来ておらず、少し黒い煙がきているだけだったので、王女と隣の人物が良く見えた。
「あっぱれじゃ、ガクシンを倒すとはお主の名は何と言う」
「え、え~っと、翔ですが…」
「翔と申すのか、どうじゃ爺」
「は、畏れながら申し上げます。
ガクシン様を倒すほどの手練れ、この若さで、この強さ将来が楽しみでございますな」
「爺が、そこまで言うなら合格じゃ」
「え、合格って」
「お主は、今から、わらわの婚約者となるのじゃ」
「そ、それはどういう事ですか」
「何じゃ、お主、わらわの公募を見ておらぬのか。
わらわは強い男が好きじゃ。
だから夫となるものは強くなくてはならぬ、頭はキレ者でも力なく貧弱なら、お断りじゃ。
そこでガクシンに勝つことが出来れば、わらわの婚約者として認めるように公募したのじゃが、多くの者が挑戦したが、なかなかガクシンに勝てる者はいなかった。
そしてついに今日、ガクシンに勝てる者が現れた。
わらわに相応しい男だと思わないか」
「僕はただ姫を捕まえる為に来たのですから」
「わらわを見て何も思わないのか」
確かに顔は美人だし、胸も大きいし、着ている服がスリットの入ったワンピースで胸の露出度も高く、胸の谷間をかなり強調している。
すらりと伸びた足も細く、スリットから見えそうで見えない足も色気をかなり放出させていた。
僕から見たら色気ムンムンの綺麗なお姉さんという感じだ。
ミネルバ姫に声をかけられて断る人はまずいないと思うが、これ以上ハーレムを増やしたら、今いる仲間達になんて言われるか…。
一瞬、女性陣の怒った顔が目に浮かんだ。
これ以上増やしたら駄目だ。
少し距離をおいた方が良いかも知れない。
「姫は美人ですし、スタイルも良い。
味方同士なら考えますが、今は敵同士、そういう感情にはなれないでしょう」
「お主は固い男じゃの」
「こういう性格なので、取り敢えず捕虜になって貰って良いですか」
捕虜にするのに断りを入れるのはどうかと思ったが、相手は敵国の姫だ。
丁重に扱わないと…。
姫は暫く考えていたようだが。
「あい、分かった。
お主に付いていこうではないか。
もっと近くでお主を見てみたいのじゃ」
「あと、この船は墜落したので使えないと思いますので、降伏をお願いします」
「分かった。婚約者の望みとあれば。
爺、降伏準備とわらわの出立準備を」
「姫、時間を10分ほど頂きたいのですか」
「だそうだ、翔殿、どうかな」
「10分くらいなら大丈夫ですよ」
「爺、急いで準備を」
「は、畏まりました」
爺は準備の為、部屋を後にした。
残って居るのは、僕と姫の二人っきり、何を話せばいいのか分からず、気まずい雰囲気が続いていた。
姫は僕の方をじろじろと見ていたが僕は気付かない振りをして、外の様子を伺っていた。





