267 戦闘 13
どっから来る?
鉄の壁は堅いが、ガクシンなら壁を粉砕して来そうだ。
壁を上から飛んで来るか、それとも左右どちらかに回って来るか?
僕は何処から来ても良いようにマップ画面と周りを注意しながら魔法を準備していく。
風で渦巻くバスケットボール位の大きさの風のボールを一つ作り、同じように水のボール、土のボール、火のボールを作っていく。
準備は万端、僕は剣を両手で掴み、剣を目の前で構えて攻撃でも防御でも出来るようにした。
さあ、何処から来い。
マップで位置を確認していると、動き出した。
ガクシンは真っ直ぐ此方に向かって来る。
突き破るのか、それとも上からなのか?
そう思っていたら、『ガシャン』ととてつもない音がして鉄の壁が揺れた。
ガクシンは壁の前に止まっているようだ。
どうやら突き破ろうとして、壁に激突、そして立ち止まっているようだ。
今がチャンスか、そう思ったが相手は熟練者、誘われているだけかもしれない。
暫く様子を見ていたら、動き出したと思った瞬間、壁の上を飛んできた。
僕はすかさず、魔法のボールを飛ばし、それを追いかけるように僕も走り出した。
ガクシンは足からきちんと着地したものの、少しふらついているように見える。
先ほどの壁に衝突した影響だろうか。
風のボールがガクシンに近づい行くが、ガクシンには見えていないのだろうか。
避ける事もしないまま直撃した。
風のボールはガクシンの体に触れた瞬間、小さな竜巻が起こりガクシンは竜巻の中で風に切り裂かれていた。
次々にボールが当たっていく。
水のボールが当たると竜巻の中で水が回され、水の圧力でガクシンを締め付けていた。
土のボールが当たると竜巻の中に鋭く尖った岩石が混じり、高速で回った岩石がガクシンに当たり傷つけていく。
火のボールが当たると、水と相殺するかと思われたが、それぞれが独立して混ざりあい、火で加熱され竜巻の中は高温に、そして加熱された水は、更に高圧されガクシンを締め付けていた。
ガクシンは動きがとれず、苦しさのあまりうめき声をあげていた。
「うぅぅぅぅ~」
そして僕はガクシンの左肩から斜めに腰まで一刀両断した。
確かに手応えはあった。
竜聖剣で切った為に、僕の放った魔法も半分に切れ消滅した。
ガクシンはそのまま気を失い、あお向けの状態で倒れたのだが、僕が斬りつけた傷が何処にも見当たらない。
それに鎧も傷一つついていなかった。
その時、轟音と共に地面が揺れた。
地面というが空中戦艦なのだが、何処から地面に墜落というか、胴体着陸ようだ。
周りは黒い燃えている煙と、着陸した際の土埃で、暫く視界が全く見えなかった。
取り敢えず、王女を捕縛しないと、そう思い見えない視界の中、マップで位置を確認しながら、王女の元へと急いだ。





