262 戦闘 8
王女を逃がす為に、側近が体を張って戦うのかと思いきや、王女は逃げる気配がない。
空中戦艦にとりついた虫は、側近がいれば大丈夫だと安心感があるのか、最上階から逃げる処か高みの見物をしている。
自分の側近が負けるはずないと、自負しているのだろうか。
王女に気をとられていたら、目の前まで側近が来ていた。
「我が名はガクシン、いざ尋常に勝負しろ」
顔に似合わず、偉く律儀な人だと第一印象を受けた。
こちらも挨拶しないといけないのか、
「僕は翔と言います」
「翔殿か、王女の敵は排除しなければならない。
このまま立ち去るなら命までは取らない」
やはりいい人だ。
敵なのに親近感が湧くなんて…、もっと話をしてみたいと思ってしまうが、今はそれ処では無さそうだな。
「ここまで来て帰る訳にはいきません。
僕は王女を奪いに来たのですから」
「ほう、奪いにね。でも私が居るからそう上手くいかないよ。
王女を奪うなら、私を倒してからにしてくれ」
ガクシンは、幅広い剣と獅子が浮かび上がっている盾を構え、戦闘体勢をとった。
僕も小剣を2本取り出し構える。
相手のステータスを確認するとレベル200で聖騎士となっていた。
レベルは、あまり変わらないが経験の差が圧倒的に違うだろう。
その点をふまえ僕がかなり不利な状況であることは間違いなかった。
「どうした、かかってこないのか」
ガクシンが構えているだけなのに、何倍も大きく見える。
相手の気迫で負けているからなのかも知れない。
取り敢えずやってみないと分からないな、僕は覚悟を決め戦闘モードに入り、速さでガクシンを揺さぶってみようとした。
ステップを踏みながら、右、左、ガクシンは何も反応がない。
更にガクシンを回りながら、反応を見ていたが、全く反応がなく見ているのかどうか分からなかった。
攻撃してみれば分かるか、不意に盾を持たない右側から攻撃してみたら、凄まじい速さの剣の突きが僕の顔の右側すれすれを通過していった。
思わず距離をとってしまった。
初動が全く見えなかった。
気付いたら顔の右側に剣があるし、たまたま外れたのか、わざとガクシンが外したのか分からなかったが、先ほどの攻撃が頭に当たっていたら、既に終わっていたはずだった。
これで終わらせたくないから、次は注意しろと言っているような気がした。
確かにその通りなのだが、ガクシンが何倍も経験があるので、かなり格上だと認識しないといけない。
もっと慎重に行動しないと一瞬で僕の人生終わってしまうな。
そして僕は剣を構え戦闘体勢を取り直した。





