261 戦闘 7
「エアル、トルネード」
「は~い、ご主人様」
突如、秒速50メートルの竜巻が地上から空中戦艦に向けて現れる。
地上にある木々をなぎ倒し、木々を丸ごと上空へと飛んでいく。
空中戦艦も竜巻が発生した瞬間、対応仕切れずに傾いたが、そのあとは体勢を立て直し、回避行動をとっているが、竜巻が追いかけていく。
「アルケー、高圧水」
「ハイハイ、任せてご主人様」
空中戦艦の横に、巨大な水溜まりが出来ていく。
直経30メートルほどの水溜まりが出来ると、そこから一本のウォータープレスが発射される。
当たれば巨大な穴が開きそうな勢いで飛んでいくが、空中戦艦に当たる前に防御壁に当たり、水が回りに散らされていくが当たった瞬間『バゴッン』と凄まじい音がして、空中戦艦は当たった衝撃で振動しながら回頭していく。
ウォータープレスの効果は無かったが、衝撃までは吸収されなかった。
「次々にいくよ、エルダ、土槍」
「はいな~、マスター」
地面が隆起し、そこから幾つのも土で出来た槍が、空中戦艦に向けて飛んでいく。
途中で竜巻の中に入り、勢いを増し空中戦艦に命中していく。
『カン、カン、カカカン、ガゴン』
途中、変な音がしたと思ったら胴体に2ヵ所、羽根に1ヵ所、防御壁を破り空中戦艦に命中していたが、何事も無かったように空中戦艦は飛んでいた。
「防御壁も、そろそろ限界かな、ウェスタ、爆裂」
「分かりましたわ、ダーリン」
先ほど開けた穴3ヵ所に、火の玉のような物が3つ飛んでいく。
空中戦艦の穴に入ったかと思った瞬間、大爆発が起き、穴の3ヶ所から黒い煙が出始めていた。
飛行出来なくなってきたのか、徐々に高度が落ちてきているようだ。
「よし、空中戦艦の上に降りるよ」
空中戦艦の上に移動して、甲板が見えたので飛び降りようとしたが、あまりの高さに躊躇してしまい、ギリギリの高さまで高度を下げてもらう事にした。
「このくらいなら飛び降りれそうだな。
アナンタと精霊達は、ワイバーン達を打ち落としておいて、僕はこの船の司令官を捕まえるから」
そう言うと約5メートルほどの高さから飛び降り甲板へと着地した。
下からの黒煙が凄まじい勢いで上空へと伸びていた。
急いだ方が良さそうだな。
司令官は、何処かな。
マップで位置を確認すると、甲板の先、中央付近に格納庫らしき入り口があり、その上に4階建てのビルのような建物がある。
その最上階にいるようだ。
僕は格納庫に向けて走り出していた。
もう少しで格納庫に着こうとした時、中から騎士達が30人ほど出て来た。
このまま戦ってもいいが、時間がおしいし、その間に逃げられてしまうかも知れないし、僕は風の力を使い空中浮遊して、直接、外から最上階を目指した。
最上階まで来ると、僕は正面の強化窓ガラスを破壊して中に入った。
僕は中に入った瞬間、敵は驚くと思いきや、薄ら笑いを浮かべていた。
特に真ん中の偉そうに、豪華な椅子に腰掛けている女性、外見は美人そうだけど、いかにも気が強いですというオーラを発していた。
この女性を捕まえれば、この空中戦艦の部隊は沈黙するだろう。
捕まえる為に動き出そうとした時、突然何かが飛んできた。
咄嗟に、2本の剣で防いだが、そのまま飛ばされ甲板の元の位置まで来ていた。
先ほどのは何だったんだろう。
まだ剣で受けた両手が痺れている。
そして、最上階から飛び降りて来る人物がいる。
見た目、豪華な獅子の鎧を着た厳ついおっさんだ。
あ、さっきのはもしかしてあの人の剣圧だったのか、僕の心の中の警戒音が鳴り響いていた。





