254 攻撃開始
2ヶ所ほど民衆を襲っているネイロ帝国の分隊がいたので、叩きのめして岩の牢獄に入れた。
民衆達は皆と一時的に逃げる為、脱出してきたらしいが足が遅い為、行軍の列から遅れてしまい仕方なく森の中に逃げたらしい。
よく見ると年をとった人、女、子供が多く、皆に付いていけない事にも納得できる。
僕は岩で出来た即席の家というか箱を作った。
小さな窓や少し重いけど頑丈なドアを作り一時的な避難場所を作った。
このくらい頑丈なら少し攻撃なら防ぐ事が出来るだろう。
それにこれ以上歩くのは厳しそうだし、森の奥に入ると魔物が出るかもしれないので危ない。
民衆にはここら辺りに留まるように説得してネイロ帝国が撤退するまで避難しているように伝えた。
避難場所を五個作り、バンブーテイルに戻ることにした。
バンブーテイルに着いてから監視塔に登りネイロ帝国の進行状態を確認しに行くと、既に見える所まで来ていた。
およそ3キロくらいの地点かな、爆発音、魔法攻撃の音が微かに聞こえ、火薬の臭いや焦げ臭いが風とともに少し臭い初めていた。
「残り1キロになったら、作戦を開始するぞ」
「おー」
「おー…、」
いつの間に近くにいたのだろうか。
ラウージャの指示に兵士達が歓声を上げる。
前線は撤退しているが…、これはわざと撤退しているけど兵士達は士気が上がりやる気満々になっている。
ラウージャが話かけてきた。
「翔、今回は出番無さそうだな」
「出番がないほうが嬉しいんだけど」
「作戦は完璧のはず、これで上手くいけば、これでネイロ兵士達をかなり減らす事が出来るはずだ。
でも万が一があるかも知れないので、いつでも動けるようにしてくれ」
「分かったよ、ラウージャ」
ネイロ兵士達が距離1キロ地点まで来た。
「よし、作戦を実行する」
ラウージャは、リングを浸かって何か通信しているようだ。
すると前線で変化があった。
幅広い街道に16列縦隊くらいで戦っていたのに、ぶつかりあっていた所から半分に裂けて、ネイロ兵が進出してきている。
道端一杯に戦っていたナーガ兵士達は、半分の8列ずつに別れ、裂けるように道から外れ森の中に入っていく。
ネイロ兵士達は勢いを増しどんどん食い込んで進んでいく。
まるでネイロ兵士を避けるようにナーガ兵士は横へと道を空ける。
そしてナーガ兵士の最後の兵士がネイロ兵士に道を譲ると、バンブーテイルから真っ直ぐに伸びた街道の上にはネイロ兵士しか居なくなった。
「よし、今だ。攻撃開始」
ラウージャの指示でバンブーテイルに設置されている魔導兵器が作動し始める。





