251 再編成
再編成を命じて小一時間は経っただろうか。
僕達は王宮から広場まで移動していた。
「優秀な部下達だから、もう再編成は終わってるはずなんだけど」
ラウージャは一言愚痴をこぼした。
再編成が終わったなら、誰か呼びに来ても良さそうだけど、広場には近づく度に何だか静か過ぎるという印象が残った。
王宮兵とイルプレーヌ兵を合わせると4万人という大部隊が居るはずなのに、辺りは静まりかえっていた。
何処に移動したのではないかと思えるくらい不安になる。
そして広場の見える位置まで来ると、騎士達は縦横綺麗に整列し、静かに立ったまま待っていた。
この人数になると流石に圧巻としか言いようがなかった。
編成を命じた時は、騒がしく本当に一時間で終わるのかと思っていたけど、本当に優秀な部下達だ。
難なく終わらせてしまうのが凄い。
皆、静かにラウージャが来るのを待つのも凄い。
ラウージャが一時間と言ったら、一時間できちんと終わらせて、静かにラウージャを待っているなんて優秀過ぎる部下だと思うけど、終わったなら呼びに来れば良いのにと思ってしまうのは僕だけだろうか。
整列した部隊、それぞれ幹部達が自分の受け持つ部隊の前に立ち、その後ろに旗を掲げた兵士が並んでいた。
僕はついついセレナさんを探してしまう。
『いた』正面から見て一番左端に並んでいた。
こうして見ると他の幹部達と引けをとっていない。
その後ろに旗を持つ兵士がいたが、一つは他の幹部達も同じ物を掲げていたので、この国の旗だろうか、真ん中にnのような文字に回りに模様が施されていた。
もう一旗は僕も初めて見たが、剣を持った兵士を型どった旗になっていた。
その後ろに馴染みのある白銀騎士団メンバーに新しく編成された兵士3000人ほどが並んでいた。
一気に兵士の数が増えて全員を統一するのも大変そうだと感じてしまう。
ラウージャが兵士達の前に出て挨拶を行なうようだ。
「無事、再編成を済ませてくれてありがとう。
イルプレーヌとのいざこざは全て忘れてナーガ国の為に尽くしてくれ。
これからネイロ帝国との戦闘になるが、出来れば皆、死なないように…、死なないように作戦するつもりだが、皆、命を粗末にするなよ。
自分の命が第一、次に仲間の命だ。
それだけは忘れるなよ。
では、バンブーテイルに移動する。
翔、頼む」
僕はディメンションルームを開く。
今回は、マンションのような構造でなく、トンネルのような構造になっていた。
再編成の間の時間にラウージャと話合ったのだが、多くの人にこの移動手段がバレるのは、後々問題になる可能性があるので、街から街に移動出来る魔法で発動するには、多くの魔力と時間がかかることになっていた。
なので今回、ディメンションルーム内の他のドアが見えないように、他の通路を隠し、トンネルのように相互通行しか出来ないようにした。
その通路を通り、ラウージャを先頭に騎士達が通り過ぎていく。
驚いている騎士達は少ないようで当たり前のように列を乱さず進んでいく。
バンブーテイルに着くと騎士達は、それぞれの幹部達の指示に従い、移動して行く。
ラウージャは領主に挨拶に行くといって、僅かな兵士を引き連れて歩いて行った。
僕達はどうすれば良いのだろうか。
遊撃隊と言われたけど、何をするかは何も聞かされていなかった。
「取り敢えず、指示があるまで待機でいいんじゃ」
皆、隼人の意見に賛成で、ここにいてもすることがないので、仲間達にはディメンションルームで待機してもらい、僕はネイロ帝国がどの辺りまで来ているのか気になったので、精霊達と一緒に上空から偵察に行くことにした。





