250 王都
僕達は王都に着くと、移動の準備に取りかかっていた。
「なぁ、ラウージャ」
「なんだ、翔」
「反乱軍を王都の中に入れて大丈夫なのか?
王都に入ったら、いきなり反乱するなんて事ないよな」
「それは多分大丈夫だろう」
「多分かよ」
「まぁ、騎士は絶対に約束事を破らない。
特に決闘までして約束したんだ、それを裏切ったら部下達は付いて来ないだろう」
「そんなものかな」
僕には騎士道というものがよく理解出来てないからなのか知れないが、僕だったら王都に入った瞬間、反乱を起こすけどなと考えていたが、そんな事は杞憂だったようだ。
イルプレーヌ兵団は、騎士らしく四列横隊で綺麗な列を作りやって来た。
先頭には幹部達六人、その後ろに白旗を持った兵士が続いていた。
王都の門を開き、ラウージャと幹部達が出迎えていた。
門の所でクレハンはラウージャに敬礼を行ない、
「この度の反乱、申し訳ありませんでした。
殿下の指揮下に入るべく参上しました…、」
建前なのかクレハンは五分ほど演説を行ない、ラウージャの部下に収まった。
「ありがとうイルプレーヌ兵士諸君、まず編成だが半分ずつで編成していきたいから、最小隊の分隊をイルプレーヌ兵5人、王都兵5人編成してくれ。
編成はその隊の班長に一任する。
また、班長もイルプレーヌ兵と王都兵の割合が半分になるようお願いする。
それでは、時間がないから1時間で済ませてくれ。以上」
大隊の隊長は幹部達に決まっているので、クレハンを含めたイルプレーヌの幹部達、セレナさんを含めた王都の幹部達は、強い兵を引き込もうと躍起になっていた。
因みに僕は遊撃隊として仲間達と一緒に行くことになっていた。
一時間もあるので、ラウージャの誘いで王宮でティータイムをするために行くことになった。
「また、騙すつもりか」
と僕が言ったら、
「今回は大丈夫」
とラウージャは言った。
前回の事もあったので、いまいち信用出来なかったが、お菓子が出ると聞いた瞬間、女性達が行く気満々になっていたので仕方なく行くことになった。
僕は、回りで兵士の取り合いをしている隊長達の争いを見ながら、横を通り過ぎていく。
「ラウージャは兵士は要らないの?」
「私は命令するだけだから、あとは幹部達がやってくれるよ」
とラウージャは答えた。
僕とは全く逆だと感じた。
ラウージャは動かず、指示するだけ僕は仲間に指示するより自分で動くタイプだな、人を信用していないというより、命令出来ないから自分で動いてしまう。
隊長とか上官には向いてないのかも知れない。
王宮に付き、暫くの間コーヒーや紅茶、お菓子などで緩やかで平和な時間を送っていた。





