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240 翔対小十郎5

小十郎は違和感を感じていた。


『両足の感覚がない?』


小十郎は自分の足を確認してみると、いつの間にか膝の少し上まで氷で固められ、動けなくなっていた。


『いつの間に、上に気をとられすぎたか』


小十郎は後悔していたが、まだ負けていない。

最後に立っていた者が勝者だ。

そう自分に言い聞かせ、やれることは全てやる事にした。

残りクナイが七本、周囲に手当たり次第投げるが、誰も当たらない。

『火遁』で足元の氷を溶かそうとしたが、表面だけ溶けて抜け出す事は出来なかった。

自分の剣で氷を少しずつ崩しているが、いよいよ切羽詰まってきたようだ。


「小十郎さん、そろそろ諦めて降伏してくれませんか」


僕は小十郎さんに問いかけてみた。


「まだだ、私は負けていない」


「だって動けないでしょ、どうやって戦うつもりですか」


「まだ、動けるさ」


そう言うと、小十郎さんは自分の足を切り落としにいった。

一刃目で右足の骨まで切れたのではないかと思うくらい、右足の半分まで剣が深々と入り大量の血が溢れ出ていた。


「どうしてですか、何故そこまで戦う必要があるのですか」


「お前には関係無い話だ」


「だって、このままじゃ戦う前に大量出血で死んでしまいますよ」


「構わん、後悔はしたくない」


なんて頑固な親父だろうか、死んでしまった方が後悔するのではと考えてしまう。

同じ国の人だから、殺さずに捕まえようと思っていたが、どうするべきか僕は悩んでいた。


「ご主人様、もう決まっているんでしょ」


エアルが話かけてきた。


「え」


「そうそう、悩んでいる振りして、焦れったいな」


アルケーも参戦してくる。


「ダーリンのやりたいようにやれば良いじゃん」


「そう言っても、ウェスタ…、」


「マスターが決めた事に反対なんてしませんから」


「エルダ…、よし、分かった」


僕はそう言うと、小十郎を攻撃していた攻撃を止めた。

足元を凍らせていた氷を溶かし、動けるように解放し、右足の半分まで切れて血が出ている傷を『癒し』で塞いだ。


「翔殿、何故、攻撃を止め回復までする」


「何故かは僕にも分からないよ。

ただ、小十郎さんを死なせるには勿体無いと思った…、気に入ってしまったかもね」


「甘いな、俺はこのまま攻撃を再開するぞ」


「それは、もう無駄じゃないかな」


「何故だ」


「セレナさん達が、領主邸に乗り込んだから、領主のビルトが捕まるのは時間の問題だな」


「そ、それじゃ…、」


そこまで言うと小十郎さんは、力無くその場に座り込んでしまった。


「小十郎さん、何故、国家の反乱になるような事を手伝ったのですか」


「領主には逆らえないからだ」


「そんな事はないでしょ、良いことと悪いことの区別は出来るでしょ。

小十郎さん強いから断る事だって…、」


「それは出来ない。

恩義を仇で返すなど」


「恩義?良かったら聞かせてもらえませんか」


「もともと隠密部隊は、孤児達が訓練して部隊を作った者だが、その孤児達が大人に成るまでの費用を出しているのが領主なんだ。

だから、俺達が今まで承っ恩を返すためと、もし俺達が裏切ったら孤児達に払う費用が止められてしまうんだ」


「皆で力を合わせて、領主に頼らず生活していけるだろう」


「それも考えたが、領主を裏切ると騎士達が黙っていない」


「翔くん…、」


ムラサメさん、神楽、茜が心配そうな顔でこちらを伺っていた。


「ん~、僕が決める事じゃ無いけど、確かに考える有余はあると思う」


「隊長の私が責任をとるから、部下の責任だけはどうか…、」


「だから、僕に言われても…、」


「翔くん」


「はいはい、まあ、一番上が居なくなれば、あとはバラバラになるだけだし、ラウージャにお願いするか」


「是非、お願いします」


また変な仕事を受けてしまった。

だんだん仕事が増えていっているような気がするのは気のせいだろうか。


小十郎と一緒に隠密部隊の部下達の説得に当たったが、元々隊長の指示しか受けない部下達なので、皆、小十郎の指示に従った。


僕達は仲間と隠密部隊を引き連れて、領主邸へと向かった。


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