239 翔対小十郎4
暫く睨み合いが続いていた。
長い間なのか、それとも短い間だったのか分からなかったが、僕にはとても長く感じた。
小十郎の動きを見逃すまいと、見ていたが剣でくるのか、それとも足でくるのか、緊張が高まっていた。
小十郎が何か呟いている『火遁』僕にはそう聞こえた。
次の瞬間、小十郎は頬を膨らませ口から炎を吐き出した。
僕は急いで水の壁を作り炎を防ぎ、炎の攻撃が無くなると僕も水の壁を解除したが、先ほどまでいた小十郎の姿はそこにはなかった。
『しまった』
僕は慌ててマップで確認すると左後方から、近づいてくる小十郎が確認出来た。
僕は急いで『岩壁』を立ち上げ、そして『ゴーレム』僕そっくりな土人形を置き、『隠密』で姿を消し移動した。
小十郎は壁を飛び越え、土人形を頭から一刀両断、半分に分かれて崩れ土に戻っていった。
小十郎は辺りを見回していた。
僕の気配を探っているのだろうか。
次の瞬間、僕の方に向かって駆けてきた。
『これは居場所がばれた』と思い、『スピアソイル』を発動、小十郎に向かって地面から土出て来た槍が、何本も襲いかかる。
小十郎は、地面の何処から槍が出てくるかを分かっているかのように一本、一本当たらない、流石としか言えないが流れるような動きで避けていく。
そして僕の目の前まで来ると、左右に持った剣で挟むように横一線攻撃してきた。
僕は小十郎の上にジャンプし、真上からトンファを振り下ろす。
小十郎には僕の動きが見えているようで、一歩下がりトンファを交わすと、そのまま回し蹴りを僕目掛けて飛んできた。
避ける事が出来ず直撃し、何メートルか飛ばされてしまった。
蹴られた場所が無くなったかと錯覚するくらい衝撃が強く、蹴られた場所を押さえながら回復に努めていたが、そんな余裕はくれないようで更に小十郎が追い討ちをかける。
剣で右、左と打ち込んでくる。
何とかトンファで防いでいたが、じり貧だ。
『何か打開策はないか』と考えていた。
取り敢えず『泥沼』小十郎の足元の地面が突如、泥沼化する。
小十郎は僕の動きを見ていて、足元は見てなかったようだ。
両足が膝下まで泥沼に嵌まった時気付いたが、その時は既に抜け出せなくなっていた。
小十郎は『土遁』のスキルを唱え、泥沼になった地面をもう一度固め直し、固まった地面の足元の部分を崩し脱出した。
僕はスキル『高圧水』を発動、幾つもの高圧の水を真上から降らせた。
流石にこれは避けきれないだろうと思っていたら、小十郎は更に『土遁』で土の屋根を作り高圧水を防いでいたが、小十郎は足元が少しずつ凍っているのに気付いていなかったようだ。
『高圧水』と一緒に『氷雨』のスキルを発動し、雨と一緒に降る氷が地面に貯まると少しずつ凍りだしていた。
土の屋根で防いだのが仇となり、小十郎が気付くのが遅れたようだ。
気付いた時には、既に足は動かないように凍りついていた。





