238 翔対小十郎3
「ご主人様~、大丈夫ですか」
「ダーリン、待ったぁ~」
「拙者も助太刀するでござるよ」
「私、神楽と茜も助太刀しますわ」
「皆、ありがとう。
他の隠密部隊は、どうしたの」
「皆、捕まえているでござるよ」
「それじゃ、後倒していないの僕だけ?」
「相手が強すぎるから、致し方ない。
助太刀するから一緒に倒すでござる」
「ムラサメさん、隠密部隊の隊長だけは僕にやらせてくれませんか」
「皆で倒した方が…、」
全てを言い切る前に、翔くんの熱い眼差しが見えた。
何かを訴えているように、目線を放さなかった。
「分かったでござるよ。
でも、危なくなったら手助けするでござるよ」
「ありがとう、ムラサメさん。
ここは僕の仕事だし、自分の実力を見ておきたいんだ。
だから、皆、手は出さないでくれ」
そう言うと僕は隠密部隊の隊長に向かって行った。
残った二人の隊長も、僕に向かって来ていた。
僕は一人を先に倒そうと考えていたが、どうするか。
そう思っていたら、隊長の一人が飛び上がり、上から攻撃を仕掛けてきた。
僕はすかさず『ウインドカッター』を三つ放つ。
飛び上がった隊長は、避ける事は出来ず剣で受け止めていたが、衝撃で来た方向へと飛ばされてしまった。
その間にもう一人の隊長をトンファで仕掛ける。
二つのトンファで僕は右、左と攻撃すると、隊長は剣で受け止め蹴りを仕掛けてくるが、僕はトンファで防ぐ。
もう一人がくる前に倒さないと、僕は速攻に仕掛けた。
左右に持ったトンファを回転させながら、隊長を攻撃していく。
回転することで、威力が増したトンファは、隊長の防いだ剣を吹き飛ばし、防御不能にしてから、手足を攻撃し動けなくし、そして追い討ちに岩石で固め自由を奪った。
最後の隊長がやって来た。
隊長は長い剣と短い剣を左右に握り締め構えていた。
僕は、躊躇いもなく先ほどと同じように回転させながら、右、左と攻撃を仕掛けたが、今度は隊長の剣は飛ばされず、僕のトンファをしっかりと受け止めていた。
「やっぱり、貴方が本物ですね」
「今までの分身と一緒にしないことだ」
「分身なら同じ強さではないのですか」
「わざと弱くして、相手の力量を測っているのだ」
「そうなんですか、それで僕の力量は分かりましたか?」
「分身でもまだ余裕があるから、まだ全てを見せていないな」
「それは、貴方も同じでは」
「フフッ、それじゃ第二ラウンドいこうか」
隊長の先ほどまでの雰囲気と違い、何かとてつもない圧迫感を感じる。
これも戦闘経験の違いだろうか。
僕も本気を出さないと、一撃で殺られそうな勢いだったので、僕も戦闘モードに移行した。





