231 戦闘
「僕で隠密部隊隊長を押さえるから、皆で他の団員をお願い出来ますか」
「翔くん、隊長はかなり強いでござるよ。
皆で戦った方が良いのではないでござるか。」
「群を抜いて強いのは隊長だけ、後は何とか倒せるでしょう」
「しかし、それでは…、拙者が戦った方が」
「大丈夫ですよ、ムラサメさん。
これでも大分強くなったのですから。
精霊達、アナンタは皆の援護に回って、来ますよ。」
隠密部隊は、隊長を先頭に斜線陣形で進んできた。
一糸乱れぬ動きで、戦闘に慣れた集団という事が分かる。
「アナンタ、ブレス」
「は~い」
僕はアナンタにブレス攻撃を指示した。
戦闘に長けた集団がブレス攻撃を受けるとは思わなかったが、先制攻撃と目眩ましの為にブレス攻撃を行った。
アナンタの吐いたブレスは、レベルが上がった為、威力がかなり上がり隠密部隊に向かった灼熱の炎は、辺り一面を焼きつくし炎の勢いはなかなか収まらなかった。
炎から離れている僕達でも、かなりの熱さを感じて目を背けてしまうほどだったが、それでも僕はマップを確認しながら、敵の動きを見ていた。
炎の壁で隠密部隊も足止めされて、動きが止まっていた。
回りを確認しながら、マップも一緒に確認する。
『動いた』
炎の弱まるのを待って、上から二人の隠密部隊が攻撃を仕掛けてきたが、それぞれムラサメさんと神楽で攻撃を受け止めていた。
次の瞬間、炎の中を突っ切って隠密部隊が突入してくる。
咄嗟に僕が受け止めたが、よく見ると隠密部隊隊長の小十郎だった。
「前の時のようには、いきませんよ」
僕がそう言うと、小十郎は僕の顔を見て思い出そうとしているようだった。
「お前は、あの時の…、」
ムラサメさんと神楽は場所を移動しながら戦っているようだった。
この三人さえ居なければ、他の隠密部隊のメンバーはそれほど強くない。
他の皆で後は倒せるだろう。
「隊長は僕が引き受ける。
後のメンバーをお願い」
そう言った後、僕も少しずつ移動しながら隊長の攻撃を防いでいた。
「任せろ、この隼人様がきっちりと残り倒してやるから」
「隼人、幾らなんでも一人では無理だ。
残りの隠密部隊のレベルは僕達と変わらないくらいだ」
「潤の言うとおり、ここは一致団結して戦わないと」
「私達もいること忘れないようにね」
「ダーリンの指示だから、こっちを手伝うけど早く倒してダーリンの元に戻らなくっちゃ」
「そうね、早く倒しましょう」
「翔様の指示により助太刀します」
「茜さんも戦えるのですか」
「勿論ですよ、隼人くん」
「秘書だけじゃなかったのか」
「今頃気付いたのですか」
「もしかして俺より強い」
「そうですね、精霊達を除けばこのメンバーでは私が一番ですね。
さあ、敵が来ましたよ」
炎の壁が消えて、残りの隠密部隊が跳ねるように移動してやってくる。
仲間を信じているが、誰一人死なない事を祈っていた。
 





