222 悩み
218章の最後にバンブーテイルまでにある街にも扉を設置した事を追記しました
僕は川岸にあった丁度いい高さの岩に座り、足だけを川の流れに任せていた。
辺りは、日がだんだん落ちて行き、空は夕焼け空となっていた。
「翔様、そろそろ…」
「すまないが、暫く一人にしてくれないか」
精霊達には悪いけど、今は一人でいたいと思った。
足を川につけたまま、上半身を倒して仰向けになり、空を見上げていた。
何の為に強くなったのだろうか。
仲間を守る為、仲間を見つける為には強くならなければならなかった。
相手を倒して取り返さないといけなかったから、それはただの言い訳だったのだろうか。
何でこうなったのかな、僕だって英雄に憧れ、英雄になりたいと思った。
でも実際は、人智を超えた力は、ただの恐怖でしかなかった。
こんなはずではなかったのに、もし仲間達も僕の力が恐怖に変わったら、僕はまた一人ぼっちになってしまうのだろうか。
どうすればいいんだろ。
一人で考えても埒があかない。
いろいろ考えているうちに、空に色とりどりの光が空一杯に広がっていく。
あれは星だろうか、そういえばこの世界に来てゆっくりと回りを見る事がなかったな。
星は、どの世界もとても綺麗で、心が癒されていく。
僕の心もだいぶ落ち着きを取り戻していた。
暫く見とれていると、近くでお腹のなる音が聞こえた。
『ぐるぐる~』
音のなった方を見て確認すると精霊達が、少し距離をおいて座っていた。
「お前達」
「ご主人様、だって、だって…、」
「ダーリンの事が心配で一人にさせられなかったのです」
「それより、精霊達は食事は取っても取らなくても良かったのではなかったか」
「最近、食べる習慣が付いて、お腹が空くのです」
「それはごめんな、こんなご主人で」
「そんな、ご主人様はキチンとやってますよ」
「そうそう、いいご主人様です」
「ダーリンの事気に入っているから、あたいを見捨てないでね」
「ご主人様と一緒に入れて幸せなのです」
「そうか、それじゃ家に帰ってご飯にするか」
「はい、ご主人様」
僕はディメンションルームの扉を開き、自宅へと戻ってきた。
僕は一人で抱え込み過ぎていたのかも知れないと考え、食事の後でも仲間に相談しようと思った。





