219 謎の集団
もうすぐでバンブーテイルに着くという時だった。
僕のマップに50人ほどの集団が動いているのを確認した。
通常時なら傭兵団で活動していんだろうと思うけど、今はネイロ帝国が進軍して来ているのに、この辺りで彷徨いているのはおかしいと感じた。
僕は、気づかれないように集団の近くにおり、様子を伺っていた。
集団は、種族もバラバラだけど職業もバラバラだった。
名前はすべて『影』としか表示されず、他の部分は何も見えなかった。
正体がバレないように、僕みたいに何か道具を持っているのに違いないと思った。
何処へ行くのかと、跡を付けていたら僕の後ろから、誰かが攻撃してきた。
まあ、僕のマップを見ていたから、後ろから来ていたのは気付いていたけど、いきなり攻撃してくるなんて…。
「いきなり何するんだ。
お前達、何処の傭兵団だ」
そう僕は言ったが、何も言わず二度目の攻撃、剣を振り下ろして来た。
レベル差なのか、振り下ろす剣がスローモーションのように見えたので、僕は難なく交わし相手の腹に蹴りを一発入れてやった。
二~三メートル飛ばされて立ち上がることはなかった。
気絶しているのだろうか。
それから集団が僕目掛けて、どんどん集まって来ていた。
「翔様、手伝いましょうか」
「一人で大丈夫、このくらいの敵なら」
僕は二本のトンファを取り出し構える。
「何故、攻撃してくるんだ」
敵に向かって叫んだが、返事はかえってこなかった。
仕様がない、殺さない程度に倒していくか。
「エルダ」
「ハイハイ」
「倒した相手が動かないように、両手、両足を岩で固めてくれ」
「分かりました。ご主人様」
僕は向かって来る敵を、流れるような動きで一人ずつ倒していく。
僕の動きは普通に動いているのだが、相手の方がスローモーションのように動いていたので、相手が剣を振り下ろす間に僕は10回は余裕で攻撃出来た。
そのくらい動きの差があった。
次は斧が飛んで来ている。
後ろにいるドワーフらしき体格の人物が投げたのだろうか。
こんなもの飛ばしても意味無いのに、そう思いながら斧をトンファで弾き飛ばす。
二人のエルフが近づいてくる。
双子なのか、似た者同士なのか、同じ顔で同じ格好をしたエルフがレイピアを構え、二人で突いてくるがこんな遅い攻撃当たるわけないだろう。
背中に強打を一撃ずつ入れ戦闘不能にした。
後ろにいたドワーフも腹と背中に一撃入れ倒れていく。
そこへ弓矢が20本ほどと火炎の魔法が飛んで来たので、一気に僕は加速して弓矢兵、魔法使いの後ろに移動した。
僕の早さについていけず、敵は僕を見失っていたが、僕が弓矢兵と魔法使いを攻撃した時僕の居場所に気付いたようだ。
僕の圧倒的な力で、50人ほどいた敵は10分程度で倒されてしまった。
「もう一度聞くぞ、お前達は何者だ」
誰も答えようとしない。
どうするべきか、ラウージャに通信して相談したら、魔法で答えるさせることも出来ると聞いたので、全員、王都に連れて行くことになった。
「エルダ、目隠しと、舌を噛まないように猿ぐつわもお願い」
全員、手枷、足枷、目隠し、猿ぐつわをしているのを確認してディメンションルームの扉を開ける。
中に入り王都の扉を開け、出たところにいた白銀騎士団のメンバーに手伝ってもらって王宮へ謎の集団を運んでもらった。
僕はその間に、後少しのバンブーテイルまで行くことにした。





