218 会議3
今回の作戦を簡単にまとめると、第二王子ラウードがバンブーテイルまで戦いながら下がる。
その間に王都から主力がバンブーテイルまで急ぎ進行し、総戦力でネイロ帝国へ反撃する。
もしイルプレーヌの領主ビルトが裏切ったら、ラウージャが軍を分けて王都に戻り、白銀騎士団はその間にイルプレーヌに奇襲をかけ占領する事が大まかで決定した。
あとは、相手の動きによって臨機応変に対応する事になった。
「すまないな、翔、勝手に戦争に利用してしまって」
「ラウージャ、先に相談してくれるといいんだが…、」
「それだと、翔が断るかもしれないだろう」
「そうかもしれない」
「だろ」
「で、ラウージャ、この作戦で勝てる見込みはあるのか」
「確率はぐ~んと伸びたと思うが、相手の出方次第だな、決め手は翔だからな、出来るだけ早くバンブーテイルに着いてくれ、我が軍も準備ができしだい出発する」
「王都を白銀騎士団だけにしていいのか」
「そうしないと、反乱を起こそうと思わないだろ」
「なるほどな」
「頼んだぞ、翔」
「ああ、すぐに出発する」
王宮を出て白銀騎士団の駐留地に寄り、仲間に説明した。
僕と精霊達は、一緒にバンブーテイルに行き、仲間達は王都に残る事になった。
危険になったら、ディメンションルームに入れるように、扉を出しておいた。
魔導師達も、魔導兵器の使い方を調べるだろうし、出発する前にセレナさんに挨拶をして行くことにした。
「セレナさん、いますか」
「は~い、いるわよ」
先ほどまでのキリッとした軍服のような格好から、今は布一枚のローブのような物を羽織っていた。
スカート部分にスリットが入っており、歩いて来る度に、白く綺麗な足が見え隠れしていた。
「どうしたの、翔くん」
「今からバンブーテイルに出発するので、その前に挨拶しに来ました」
「あ、そうなの。
今回は、翔くんがいて助かっちゃた」
「どうしてですか」
「もし、私達でこの王都を守る事になったら、相当な被害が、いえ全滅していたかも知れないわ」
「そんな事ないでしょう」
「相手は二万に、こっちは200しかいないわ。
こうなるとレベルとか関係なく数で押しきられてしまうわ」
「それでもセレナさん達はどうにかしてくれるのでは…、」
「んん、無理だわ、エレナ達とも相談したけど、半分外に出して奇襲させるとか、いろいろ考えたけどいくら考えても打開策がなく無理だったわ」
「白銀騎士団は、僕の中で無敵なのですけどね」
「翔くんも、まだ騎士団に入っているからね」
「そうでしたね」
「翔くん…、」
「はい?」
「ありがとうね」
そう言うと、セレナさんは僕に近づき頬に優しくキスをしてくれた。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
「え」
「翔くん、気をつけて行ってらっしゃい」
「え、は、はい、行ってきます」
セレナさんは何事も無かったように、僕を見送っていた。
僕はセレナさんと別れ、急ぎバンブーテイルを目指した。
風の力を利用し、自分の体を持ち上げ、あとは、頭から足に向けて風が流れる感じで、だんだんと加速していく。
人に見られないように『スキル隠密』をかけておく。
精霊達も僕の回りを一緒に飛んでいるが、まるで精霊達とランデブーしながら飛んでいた。
精霊達が僕の方にくっついたり離れたり、精霊達は楽しんでいた。
この分で行けば二時間もあれば、バンブーテイルに着きそうだった。
途中の街も後で寄るかも知れないので、街の中ではなく近くの森の中や岩影に扉の位置を設定していく。
一つの街に扉が一つ有ればいいかな、そう思いながら扉を設定したら直ぐ次の街と急いで設置しながらバンブーテイルに急いだ。





