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210 領主ビルト

「どう言う事だ!」


領主の部屋では、怒鳴り声が響いていた。

そこに居たのは、領主のビルトと船で荷物を運んできた部隊の隊長グレハンとその部下二人が居た。

領主の部屋は、とてもきらびやかでほとんどの物が金や銀、宝石をふんだんに使われており、装飾も細部まで細やかに作られた物が多く飾ってあった。


なんと言っても、領主の大きな机と椅子は全部金で出来ており細やかな細工がしてあった。


領主の体格は、潰れた饅頭のように顔にも体にも脂肪が溜まり5重顎で、お腹もパンパンに膨れ、動くのも面倒くさそうにしていた。


それに対して隊長は銀色の甲冑に身を固め兜は脱ぎ右手に抱えている。

少し細目で髭を生やした普通のおじさんだ。


「先ほど話した通り、船の荷物が無くなっていまして…」


「それは聞いた!何故、荷物が無いんだ。

ちゃんと荷物確認してきたのか」


「はい、それは勿論。

船を出港する時は、確かに有りました。

しかし、イルプレーヌの港に着いた時には、貨物室に置いてあった荷物がすべて消えていまして…」


「何故、積んだはずの荷物が消えるんだ!」


領主のビルトは、顔を赤くし、かなり激怒していた。


「それに関しては、私達も何故荷物が消えたのかと…、」


「言い訳はいい!あの荷物がないと戦力が半減してしまうんだぞ」


「はぁ~」


「何だ、その曖昧な返事は、事の重大さを分かってないようだな。

水竜が出たと報告があったが、それも嘘ではないのか」


「いえ、確かに水竜は出ました」


「それなら水竜が出たのに、何の被害もなく港に戻ってこれたのはどうしてだ」


「それに関しても、私達にも分かりません」


「もうよい、後でお前の処分どうするか決めるから、自宅で謹慎していろ」


「はい」


隊長グレハンと部下は頭を下げ部屋を後にするが、隊長のグレハンは、『あのブタがいい気になりやがって、いつかあのブタを領主の座から引きずり落としてやる』そう思いながら自宅へと戻っていった。


「小十郎」


領主のビルトは、誰も居ないはずの部屋の中で呼んでいた。

すると一人の隠密が、領主の机の前でスッと現れ、片膝、片手を地面に着き領主の前で平伏していた。

隠密部隊の隊長の男だった。


「小十郎、先ほどの話、どう思う」


「大きな荷物を気づかれず、運び出すのは不可能かと思います。

水竜は港から確認出来ましたので、水竜が現れたのは間違いありませんが、この辺りで水竜が出るなどありませんので、荷物が消えた事に何か関係があるかと思われます」


「それで調べてみて何か分かったか」


「それが、確かに大きな荷物が載っていた形跡が有るのですが、どうやって運び出したのかが分かりませんでした」


「荷物は載っていたが、荷物はないか…、王国が裏で動いているかも知れないな」


「そのような形跡は有りませんが…」


「お前に気付かせないとは、余程優秀な奴がいるのだろう。

もう時間がない、武器が手に入らなかったのは痛いが仕方ない。

全兵をこの街に召集する」


「はっ、畏まりました」


小十郎は消えて居なくなった。


『あとはネイロ帝国と合わせて挟み撃ちにすればナーガ国は私の物』


「はぁっ、はぁっ、はぁっ」


領主の笑い声が木霊していた。

その頃、翔くんはくしゃみが止まらなかったとか…。


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