204 領主の船
僕は、マストの上で王都にいるラウージャに通信を取っていた。
これまでの経緯を話、もし海賊達が居なくなり、後背の憂いが無くなった場合、王都に進軍、それと同時にネイロ帝国が攻めてくる可能性を示唆した。
『翔、無理をするなよ』
『ラウージャ、お前が頼んだんだろう』
『そうだったかな』
『じゃあ、この仕事放棄して良いんだな』
『冗談だよ、翔、こちらも万が一に備えて準備するつもりだが、絶対戻って来いよ』
『分かってるよ、また、連絡する』
領主の船が近くなってきたので通信を切ったが、大きな船が一艘、長さは約50メートルで三本マストの帆船で、距離が近づく度に、
その大きさにアットウサレテしまう。
しかし、この巨大な帆船に護衛の船が一艘も付いてないのは怪しすぎる。
三バカは分かっているのか…。
水面は穏やかで、船の揺れは少ないが船にあまり乗りなれていない所為で、僕は気分が悪くなりかけていた。
先に出港した船は、既に領主の船に横付けしカギつめのロープを投げて船と船を固定して、海賊達は乗り込んでいた。
そこでおかしいのは、普通なら船にも護衛の兵を置くはずなのに船にはおらず、それどころか海賊達が領主の船に乗り込んだ時、乗組員達は、皆、
一目散に海へと飛び込み逃げていた。
僕は船に罠が有るのかと思いつつ、海賊達が次々と乗り込むのを見ていた。
そしてこの船も領主の船にたどり着き、三バカ達も乗り込んだの見て、僕も姿を隠したまま領主の船に乗り移った。
「やったぞ、領主の船を奪い取ったぞ」
「このまま、船ごと頂こうぜ」
大地は、皆に指示を出していた。
「罠かも知れないから、手分けして伏兵がいないか、罠がないか、変わった所ないか、調べてくれ」
「分かりました、孔明様」
皆、手分けして探したいたが、僕のマップに段々と近づいてくる者がいた。
目で探しても確認出来ないが、マップで確認すると確かに20人の固まりが4つ四方から近づいて来ている。
何か僕と同じように見えないように何かあったらが働いているのだろうか
『三バカ、きづかないのか』
マストの上から下を見るが、探すのに手一杯で船の回りは確認してないようだ。
あいつら、そう思いながら精霊達が近くにいるだろうから呼んでおいた。
するとその時、船の中から海賊の一人が慌てて甲板へと上がってきた。
「大変です、孔明」
「どうした」
「船の中は、お宝どころか爆弾で一杯です」
「何だと、急いで船から離れるんだ」
そう言った瞬間、回りから火矢が飛んでくる。
「精霊達、お願い」
「分かりました」
「は~い、ご主人様」
エアルは火矢を風の勢いで火を消しながら矢の方向を変える。
アルケーは水で火を消して水の中に巻き込んでいく。
エルダは矢に岩の重りを付けて船に届く前に海へとおとした。
ウェスタは火矢を丸ごと焼いて消し炭にしていく。
僕はその間に甲板へと降り立ち、仲間だから助けないとな。
「大地、佑樹、健二、この中に皆を入れるんだ」
「翔、いつの間に居たんだ」
「それは後で話すから、早く時間がない」
僕はディメンションルームを開け、皆を入れることにした。
「何だ、この空間は」
「どうなってるんだ」
「いいから早く入れ」
海賊達をディメンションルームに入れていくが、人数が多い為全員が入るか心配だったが何とか全員入ったようだ。
あとはぼくだけ、
「精霊達、ちょっと離れて見ていてくれ」
それだけいうと、僕はディメンションルームに入り入り口を防いだ。
少しして大きな爆発音と共に振動が来たような気がした。
何とか助かったな。
精霊達に念話をして回りの状況と爆発の影響を見てもらっていた





