202 海賊洞窟2
「何でお前達は、犯罪まがいな事をやっているんだ」
大きなテントの中で僕達は、話あっていた。
「仕方ないだろう。
翔達も漁村を通った来たから分かると思うが、漁民は皆飢えて死にかけていたんだぞ」
「それなら、領主に訴えるとかあるだろう」
「勿論、領主に訴えに行ったさ。
でも門前払いされて、会うことも出来なかった。
他にどうせろと言うんだ」
「領主が駄目なら国に直接言うとか」
「翔、関所の数見ただろう。
俺達をここから出さないために、何個も関所を作って防いでいるんだ。
無理に関所を通ろうとすると、直ぐ殺されてしまうんだぞ。
もう何人殺されたか分からないくらいだ」
「だからと言って海賊行為は…」
「なら漁民は皆黙って死ねば良いと言うのか」
「そんな事は」
「それに俺達は海賊ではなく、義賊だ。
狙うのは領主の船しか狙わないし、乗っている乗組員は殺していない。
奪った物を皆に分け与えてるし、自分達が多く払っていた税金を取り返して何が悪い」
「何をどう理由付けても、お前達のやっていることは、略奪行為だ。
討伐隊も組織されて、まもなく討伐隊も動き出すだろう」
「翔、他にどうすれば良かったと言うんだ。
俺達は、この世界に来てここの人達に助けられた。
僅かな食料を僕達に分けてくれて、僕達は何とか生き延びている。
僕達は一宿一飯の恩義を忘れない、だから例え犯罪者になろうと漁民の為に命をかける」
話は平行線のまま、終わりが見えないのでテントを一つ借りてそこで一夜を明かすことになった。
「翔くん、私、あの人達の言うこと分かります。
いきなりこの世界に飛ばされて何も分からなくて、自分ではどうしようもなく、誰かに助けを求めてた。
自分達も貧しくて困っているのに、知らない誰かを助けるなんて、元の世界だと考えられなかった。
実際、助けて貰えるなんて、とても嬉しくて、いつか恩返ししようと思っていたのに…」
「空は、住んでいた村を山賊に襲われたんだったな」
「ごめん…、翔くん、つい思い出してしまって…、」
空は何とか泣かないように頑張っていたが、涙が目から溢れ一粒二粒流れたのが見えた。
そうだな、僕だってセレナさん達に助けてもらって、何か恩返ししないと思いながら、僕は皆を振り回していた気がする。
自分の事ばかり考えて、回りが見えていなかったのかも知れない。
「翔様、それでこれからどうなさいますか」
「それが分からないんだ、ミディア。
どうすれば良いのか」
「翔、君が決めた事を僕達は付いていくだけだから」
「ラウド、男装は嫌じゃないのか」
「翔が決めた事だし、邪魔にされたくないから」
「そうか、ちょっと考えさせてくれ」
三人の知り合いという事で、まさかと思うが奇襲されたりとかされないと思うが、念の為にディメンションルームに皆入ってもらい、誰も居なくなると逆に怪しまれるので、僕と神楽、茜の三人はテントの中で睡眠を交代ずつとることにした。
どうするかな、三バカと一緒になって領主の船を襲いながら、討伐隊が来たら一緒に撃破して、街まで攻めいるか。
それとも討伐隊を倒して、三バカの安全を取りつつ、隠密部隊、騎士達を少しずつ消していくか。
どちらも僕達まで犯罪者になってしまうから、出来れば避けたい。
一番良いのは、領主が国家転覆を図っているという証拠があれば、こちらに正義があり国の支援も受けられるだろうが、出来れば全面戦争になる前に、領主を押さえたいが…、それにしてもチュー助はなにやってるんだろう。
捕まったのか、それとも殺されてしまったのか連絡がこない。
マップで回りを確認しながら警戒していたが。





