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201 海賊洞窟

磯の波打ち際を岩から岩へと飛び移りながら進んでいた。


「急いで付いて来てくれ、潮が満ちたら通れなくなるから」


「森からは通れないの」


「見ての通り、海の反対側は断崖絶壁になっていて、森からは降りられないんだ。

船でも行けるが、今の時間は潮の流れが逆で、あっという間に逆方向に流されてしまうから、今の時間は磯を行くしかないんだ」


成る程ね、海の反対側を見ると高さ100メートルくらいはあるだろうか、断崖絶壁になっている。

上からロープで降りるのも大変そうだな。

その時『ドッボン』誰かが海に落ちたようだ。


振り向くとクロが海から上がろうとしている所だった。


「あ~、水は嫌いにゃ」


「どうしたの、クロ」


「空様、この岩に付いている髪の毛滑るにゃ」


「髪の毛?あ、海藻のことね」


「そうにゃ、お陰でびしょ濡れにゃ」


そう言うとクロは体を震わせて、水を撒き散らす。


「ちょっとクロ、こっちに水が引っかかるじゃない」


「あ、ごめんにゃ、空様」


「まさに水も滴る良い女だな」


「翔くん~」


「あ、良いな、私も濡れようかな」


「沙羅、濡れてももう言わないからな」


「翔くんのケチ」


「あの~、先に急いでよろしいでしょうか」


「ごめんごめん、急ごう」


それでも途中でウニやアワビ、サザエなど見つけたらゲットしながら進んでいくと、


「着きましたよ」


そこは崖の根元に開いた小さな洞窟だった。

硬い岩に波の侵食で開いた穴は小さく直径3メートル程の小さな穴で、回りの海にも大きな岩が突き出していたので、海側から直接見

える事はないだろうし、海が満潮になった時、穴まで水に浸かってしまうだろうか、穴の回りには海藻やフジツボがぎっしりと付着していた。


穴の脇の通路を通り、穴の中に入ると、中は意外に広かった。

入り口は狭かったけど、中は高さ10メートルくらいはあるだろうか、波の侵食と人の手が加わった所があるみたいだ。

奥は更に続いており、少しずつ登りになっているようだった。


何人かとすれ違ったが、こちらをジッと見ているだけで何も言わなかった。

奥に行く途中に20人くらい乗れそうな小型船が10挺、陸揚げされていた。


その場所から枝別れしていて、三本の通路の真ん中を通っていくと、ドーム状の広い空間に出た。

直径300メートルくらいの大きさで、天井1メートルの穴が開いており、そこから光を取り込んでいるようだ。


ドーム状の空間には、大小のテントが張られており、皆そこで暮らしているようだった。

そして一番奥の大きなテントに通される。


「孔明様、周瑜様、仲達様、翔様をお連れしました」


「よろしい、通せ」


三国志の軍師の名を語るのは誰だと思いながら、テントの中に通されると、


「あ~!」


「久しぶり翔、お前もこの世界に来ていたのか」


「何だ、女ばかり連れて」


「あれ、そこにいるのは委員長じゃないか」


そこにいたのは、三バカトリオもとい三国志に限って言えば、かなりオタクでクラスで三人でよく三国志の話をしていたのを思い出した。

三国志で知らないことはないくらい詳しい人物だった。


孔明と呼ばれていた男は、荒木 大地。

背は170センチ、やせ形で今は顎髭を生やして、羽毛扇を持ちと丸い独特の帽子、綸巾かんきんを被っている。


周瑜と呼ばれた男は、神田 佑樹。

背は160センチ、やせ形でいつも青白く今にも倒れそうだ。

自分で作ったのだろうか、漢服のようなものを来ていた。


最後に仲達と呼ばれた男は、木下 健二。

背は160センチ、ちょっとぽっちゃりとしている。

中国系の服装ではないのだがあるが、何かが違うし、とても派手に作られていた。

目立ちたがりやなのだろうか。


「翔、時間はあるんだろ、ゆっくりしていけ」


「ああ、ありがとう」


「それにしても、美女ばかり連れて良いな、翔は」


「沙羅さんも、空さんも美人で羨ましい」


沙羅も空も後ろに隠れ身震いしていた。

オタク達と気があわないらしく、「キモい」とか言っていたが、それはあんまりじゃないかと思った。

僕も半分くらいオタクに染まっているかもしれないと思いながら、今までの事や、これからの事を聞きたかったので、暫く滞在することにした。


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