19 食事係
「何で、翔だけがレベル上がり方が早いんだよ。
おまけにスキル取得に必要なポイントが、すべて1ポイントしかいらないなんて絶対おかしいよ。
普通は上級のスキルを取得するほど多くのポイントが必要なはずなのに、何だか狡くないか?」
今日の狩りから帰宅し、皆でレベルやスキルを確認しあった時、隼人が熱く語っていた。
「それが僕のチートスキルなんじゃないの?」
「そうかも知れないけどさ。
俺だって早く強くなりたいのに、なかなかレベル上がらないし、直ぐに翔に抜かれそうだし...」
隼人のレベルは今15、僕のレベルが12、他の皆はレベル8、僕のレベルの上がり方は皆と比べて早いほうか...。
ケンカごしに話す隼人を見て、沙羅が仲裁に入ってくれた。
だけど、これがいつもの隼人だと僕は思っていた。
僕と話す時はいつもこんな感じ、端から見ればケンカしているように見えるけど、僕からすれば腹を割って話してくれるから、気兼ねなく何でも話せた。
「隼人くん、仲間だからそんなに言う事もないんじゃないの?」
「別に、翔に当たるつもりは...、すまん翔」
「いや、確かにおかしいよな、自分でもそう思うよ」
「いや、俺のはただの妬みだから。
翔のレベルの上がり方が早いから、つい言い過ぎた。
俺も翔に負けないように頑張らないとな」
「仲直りだね」
「紗耶香、俺たち喧嘩してね~し」
「レベルはバレるから隠しても仕方がないけど、スキルの件は隠した方がいいんじゃない?」
「そうだな、沙羅の言うとおりスキル取得に必要なポイントが1ポイントしか、いらないなんておかしすぎるからな」
「スキルの件は、仲間だけの秘密にしておこう」
「翔くん、スキルはレベル12で何が覚えられるの?」
「う~ん、暗視、望遠、料理とか...」
自分でも何で料理のスキルを覚えられるのか、良く分からなかった。
今の職業にはあまり関係無さそうだけど、関係があるといえば元世界で家は両親共に共働きで帰ってくるのがいつも遅かった。
だから、夕食の準備はいつも僕が行なっていた。
料理と言っても僕が作れるはずもなく、宅配で材料だけ配達され、それを混ぜて焼いたり調理するだけの簡単料理を毎日作っていた。
それが関係しているかは不明だが、料理スキルは僕しか覚えられないようだった。
「料理...いいんじゃない!」
「そうね祐太くんに賛成、ここの料理あまり美味しくないのよね」
「料理スキル使えば美味しくなるかも」
「翔、料理スキルとって料理作れ」
「何で俺が...」
「それで俺の蟠りをチャラにしてやる」
「そんな、一方的な」
「私も料理はあまりした事ないけど料理スキルが取れるようになったら取るから、あ、ちゃんと手伝いはするわよ。
だからそれまではお願いね、翔くん」
「よろしくね、翔くん」
可愛い沙羅、紗耶香にニコニコしながら言われると男として断れないので、料理スキル取って料理担当となった。
「マスターがやるなら、私達も手伝いますわ」
「あい、あたいも手伝います」
エアルと、アルケーが言う。
二人ともいつの間にかレベルが上がっており、エアルがレベル5、アルケーがレベル6になっていた。
そしてエアルは、いつの間にか幼女の姿に変わっていた。
最初見た時、誰この子と思って尋ねてみたらエアルだった。
何でも、精霊の力が強くなると体もそれに耐えられるように変化するらしい。
見た目はアルケーとほとんど変わらないが、髪の色と目の色だけが綺麗な黄緑色をしていた。
エアルとアルケー、色違いな双子のように見えた。





