184 コボルト 2
「アナンタ、行くぞ」
「はい~、ご主人様」
まずは一番近くにいるコボルトに向かう。
一気に近づき、僕は剣を後ろから突き刺し、アナンタは竜の爪で引き裂いていく。
それでも消えかったので、剣を抜き取り上から切り裂くと、コボルトは、
「ウォーン」
と叫び声を上げて霧となって消えて行ったが、その声に他のコボルトが気づき一斉に襲いかかってきた。
不味い、一体ずつなら何とかなりそうだったけど残り9体、全員を相手には出来ない。
ここは一旦逃げるか、そう思っていたらアナンタがコボルトに向かって走り出していた。
「アナンタ!」
「置いて行きますよ、ご主人様~」
「違う、…もう」
僕は少し遅れて、アナンタを追いかける。
アナンタのブレス攻撃、辺り一面炎の海になったが、コボルトは炎に巻かれながら向かって来る。
4体はブレス攻撃を避け、まだ燃え上がっている地面を避け左右に別れて向かって来ている。
レベル140のコボルトは炎など気にする様子もなく、アナンタに向かって走ってきている。
「アナンタ、下がるんだ」
僕は戦闘モードに入るが、コボルトとのレベル差があまりないせいか、ほんの僅かに遅くなったような気がしただけだった。
このままでは間に合わない。
この状態にスキルをかけることはできるだろうか、 そもそも今スキルがかかっているのだろうか。
分からないまま、スキルを使ってみた。
『スキル電光石火』
僕の体は一気に軽くなり、スピードが加速する。
コボルト達の動きが遅くなり、僕の方が早く動くことができる。
やはりレベルが上がり身体能力が格段に上がったようだ。
その分、スキルによる付帯もパワーアップしているようだ。
今はそんな事より、アナンタが危ない。
アナンタでは5体相手に戦うのは無理だろう。
加速した僕はアナンタとコボルトの間に入り、更にコボルトに向けて大きくジャンプした。
上空から狙うコボルトを決め、剣を振りかぶり頭から剣を振り下ろす。
コボルトは棍棒で防ごうとしたが、棍棒ごと真二つにして霧となって消えた。
横からコボルトが棍棒で叩こうとしたので、剣でふさぎ右足で蹴り飛ばした。
反対から来ていたコボルトには、棍棒を振り上げていたので、横に二撃加え突き刺すと霧となって消えた。
左右から弓が飛んできた。
炎を避けたコボルト達の攻撃だった。
今の僕の状態は、戦闘モードで360度すべてが見えている状態だったので、まず不意打ちは食らわないだろう。
矢を放ったコボルトは置いといて、まずは目の前の炎に包まれてたコボルト達、二匹同時に攻撃を仕掛けてきた。
まずは右側のコボルト、剣に力を込め突いていく。
10回ほど深く突いたら、霧となって消えていった。
もう一匹も輪切りにしていく。
何撃かで霧となって消えていった。
先ほど蹴飛ばしたコボルトを…、と思ったらコボルトが動けないこといいことに、アナンタが爪で引き裂いて消してくれてた。
「アナンタ、ありがとう」
「いえ~、協力して倒さないとですね」
あとは左右のコボルトが4匹、右と左どちらから行くか。
アナンタ達に近い左側のコボルトから倒すことに決めた。
僕は走り出し、だんだんと加速していく。
今の状態なら二匹は行けるか。
『スキル飛剣』
僕は剣の暫撃を二個、コボルトに向けて飛ばす。
Xの字のようにコボルト目掛け飛んでいく。
暫撃はコボルトを突き抜け、後ろの壁までXの形に穴が開き、コボルトはそのまま崩れ落ち霧となって消えた。
ラスト、右側の二体、一気に近づき僕は切り裂いていく。
切り裂いて一歩ジャンプして離れたら、霧となって消えていった。
「ふう、何とか倒せましたね」
「翔様は想像以上ですね」
「お兄ちゃん、私は」
「アナンタ、お前はまだまだだ」
「え~~」
僕達は次のコボルトを探しに先へと進んだ





