181 スケルトンアーマー3
鎧の隙間に攻撃すれば、何とかなりそうだ。
スケルトンアーマーの右腕の肘から先がなくなり、武器の斧も持てなくなっていた。
左手に持っている盾のみだったので、僕は武器の無くなったスケルトンアーマーをそのまま鎧の隙間を切り裂いていたが、突然頭上から強い衝撃が走る。
武器を持っていないと油断していた所に、左手に持っていた盾で叩きつけられてしまった。
直撃を受けて一瞬意識が飛び、頭が朦朧としていた。
「ご主人様~」
「翔様」
声は聞こえていたが意識がはっきりせずふらついていた。
そこへ追い討ちをかけるようスケルトンアーマーの盾の攻撃、僕は数十メートル後方まで飛ばされてしまった。
僕は痛みに耐えながら、そしてふらつきながらも必死に立とうともがいていた。
更にスケルトンアーマーがこちらに向かって動き出していたが、アナンタのブレス攻撃でスケルトンアーマーは、またもや炎に包まれてた。
『スキル使えても使えなくても、上手く使わないと一緒じゃないか、スキルが思ったように使えて浮かれていた自分が恥ずかしかった。
これじゃ駄目だ、強くなったといえない』
炎に包まれているスケルトンアーマーを見つめながら、僕はゆっくりと立ち上がった。
手は動くか、足は動くか、まだ僕に出来ることはあるか、僕は呼吸を整えスケルトンアーマーに向かってゆっくりと歩き出していた。
何故か回りの音は気にならなかった。
自分だけの鼓動が大きく感じられた。
その時耳の奥で聞いた事のある音楽が流れていた。
何処で聞いたのだろう、元の世界で聞いた音楽だったかな。
だんだんとその音だけ大きくなり、回り360度すべてが僕には見えていた。
まるで僕の目が横にも後ろにも何個も付いているような感覚、そして音楽も思い出した。
この世界に来た時に聞いた音楽だった。
すべてが調和しているような音楽、風の音、大地の鼓動、水の流れ、炎の荒々しさ、僕は感じていた。
スキルなど関係無かったのかも知れない。
ただこの星の息吹を感じて力に変えればよかっただけなのかも知れない。
僕はスケルトンアーマーに近づいていく。
スケルトンアーマーも炎に包まれながらも僕に向かって歩いてくる。
スケルトンアーマーは近づき、盾で攻撃しようとしていたが、僕はその盾を手で受け止めようと触れた瞬間、僕から大気の流れが生じた。
流れは風、水、土、火が混ざりあい少しずつ勢いを増し、激流とかしていた。
四大元素のすべてが合わさった流れは、スケルトンアーマーを飲み込み鎧を次々と剥がし、中のスケルトンを露にしていく。
ただのスケルトンになってしまった本体も最後は砂のように崩れ、粉々になり一緒に飛ばされていった。
「ご主人様、凄いです~、ご主人様、ご主人様大丈夫ですか」
だんだんと意識が無くなっていく前に聞こえたアナンタの声だった。
次に気がついたのは、異空間室のベッドの上だった。
「ご主人様、目が覚めましたか」
「僕はどうなったんだ」
「翔様は、いきなり強大な力を使われたので、体がついていけず倒れたのです」
「どのくらい寝てましたか」
「試練の時間で一週間です」
「そんなにですか」
「ご主人様がなかなか起きなかったから心配したです~」
「時間を無駄にしてしまったな、急いで進まないと」
「ちょっと待ちください、翔様。
この試練の中では、体に負担がかかるようになっていますので、まだ無理をなさらない方が宜しいかと」
「何か違和感があったのは、そのせいですか」
「私の口からは、何とも言えませんが、兎に角、あと1日位はこの空間で休まれた方がいいと思います」
「ご主人様、無理をなさらないでください」
自分の手を握りしめて、力の入りかたを確認したが、少し力が入りにくいような気がした。
「無理をするといざという時、判断を間違うかも知れないから、言うとおりに今日1日休みますか」
「翔様、それが宜しいかと思います」
僕は異空間室で何もすることが無かったので、体を動かしたり瞑想したりと時間を潰した。
あとラドンに異空間室について僕でも作れないかといろいろ聞いてみた。
『リングボックスと同じような物で、リングボックスの拡大バージョンと思っていい』
という事で、僕でも出来そうな気がしたが直ぐには出来なかった。
イメージする事が大事な事らしく、スキルの発想と同じみたいで構造さえ理解出来れば使えるようになるみたいなので、これは便利なので覚えようと思った。
明日からは、また試練の続きからだ。
10階層のボスは倒したので、11階層からだ。
僕のレベルは、一気に140まで上がっていた。





