176 異空間室
この階の魔物は、どうやらスケルトンのみで一匹ずつしか出てこないようだ。
次のスケルトンを発見した。
『一気に片付けてしまおう』と僕はスキル疾風迅雷を使い、スケルトンに気付かれる前に瞬時に近づき、スケルトンの周囲を回りながら切り刻む。
スケルトンはなすすべもなく霧散して消えていく。
「ご主人様、私の分も残してください」
「あ、ごめんごめん」
「もう~、私の試練でもあるのですからね」
「つい夢中になってしまって」
「翔様、二人で連携して倒してもいいんですよ」
「ああ、でも僕の試練が分かりそうで分からないから」
「そんなに焦っても、答えは出ませんよ」
「それはわかってるけど、このモヤモヤ感が…、どうにかしたいけどもう少し時間がかかりそうだな」
「次から次に倒していけば答えは出るかも知れませんよ」
「本当ですか」
「それは翔様次第ですが」
今は魔物を倒して行くしかないか、そう思いながらスケルトンを倒していく。
アナンタのブレス攻撃、そして僕の切り裂き、アナンタのドラゴンクロー、まあただの竜の爪攻撃だが、一階のスケルトンを次から次に倒していった。
最初はぎこちない動きで、倒し方もよく分からなかったが、だんだんとスケルトンに関しては倒し方が分かり始めた。
スケルトンはレベルは高いがそこまでうごきが速くなかった。
というよりは、僕のスキル疾風迅雷の方がかなり速くなるので、スケルトンが遅く感じてしまう。
スケルトンの攻撃は強力だが、当たらなければ意味がない。
一階層の終わる頃には、スケルトン一体だけなら楽勝で倒すことが出来た。
二階へと続く階段を見つけた。
「次は二階層ですね。
フロアボスは10階層ごとに居ますので注意してください。
あとここからはスケルトンが二体ずつ出てきますので気を付けてください」
折角慣れてきた所だったのに、二体ずつか…、倒すことが出来るだろうか。
不安だけが積もっていった。
二階層に登ってきたら、いきなり目の前にスケルトンが二体待ち構えていた。
いきなりの事で僕とアナンタは一瞬驚いてしまった。
そこへスケルトン二体が襲いかかってきた。
僕は出遅れたが、剣を構え迎え撃つ。
左のスケルトンが僅かに速い。
スキル疾風迅雷、共振剣(振動によりノコギリのように切り裂く剣)、重複してスキルをかける。
「アナンタ、ブレス」
「はい~」
アナンタはスケルトン二体に向けてブレス攻撃をおこなったが、スケルトンは気にすることなく体が燃えながら向かってくる。
僕は少し速い左のスケルトンへ横一線に攻撃、そして右からきたスケルトンに胸辺りを目掛けて突きをおこない、蹴りと同時に剣を抜きながら飛び上がり、
その勢いのまま左のスケルトンをバク宙しながら頭から地面まで、一直線にきりさいた。
そこへもう一体のスケルトンがきたので、剣を横に構え、独楽のように僕は横に回転しながらスケルトンを切り刻んでいき、アナンタのドラゴンクローで木っ端みじんとなり霧散していった。
「アナンタ、凄いじゃないか」
「ご主人様も、凄いですよ」
「二人とも、まだまだですよ」
「はい、分かってます」
「でも、最初の時と比べるとましになりましたね」
「ありがとうございます」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「アナンタには、誉めていない」
「ブーブー、ケチ兄」
「うるさい、今日はこの辺りまでにしましょうか」
「もうそんな時間ですか」
「はい、かなり時間経ってますよ」
「まだ二階層、入ったばかりなのに1日一階層と考えたら、100日もかかってしまう。
時間がかかりすぎる」
「大丈夫ですよ、翔様」
「どうしてですか」
「この竜の試練の中では、1日が外の世界では一時間しか経っていませんので、100日かかったとしても、外の世界では100時間しか過ぎてないということです」
「100日よりはましだけど、4~5日かかるということか、それでも時間食うな」
「それはそうと、まだ試練についても分かってないのでは」
「それを言われるとちょっと」
「今、準備しますのでちょっと待ってください」
そういうとラドンは近くの壁に手を当て何かを唱えていた。
「さあ、どうぞ」
「どうぞ?」
ラドンは壁に手を当てたまま、壁に吸い込まれるように消えていった。
「ラドン」
「お兄ちゃん」
僕とアナンタは追いかけるように、ラドンが触れていた壁に手を当てると、あると思っていた壁に手が触れずに、そのままよろけるように壁の中に入ってしまった。
そこはどういう訳か、広い部屋になっていた。
広さは30畳くらいのリビングにキッチン、シャワールーム、テーブルやソファーなど家具がほとんど揃っていた。
「ラドン、これはどういう事なの」
「これは異空間に作った私の部屋です。
さっき入って来た壁の所にこの部屋を繋げました。
あとは、入り口を防護壁を施せば完了、安全地帯のでき上がり」
「僕にもこんな部屋作れますか」
「さっきも言ったけど、それは翔様次第、不可能ということはないので、やれば出来るかも…、誰でも無限の可能性を秘めているのですよ」
「なるほど」
何か先ほどの言葉に何かヒントを見たような気がしたが、まだモヤモヤしていた。
キッチンがあったので夕食の準備、外ではまだ夕方になっていないので夕食はおかしいかもただの食事とするか。
食事を取り、ベッドは人数分あったが三人で一緒にベッドに入り眠りにつく。
明日には試練について分かるかな、そう思いながら、ゆっくりと目を閉じた。
いつも読んで頂きありがとうございます。
アクセス数は増えてきておりますが、この作品が面白いのか、面白くないのか分かりませんで評価をつけて頂けると嬉しいのですが、よろしくお願いしますm(__)m





