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174 竜の試練 1階層

僕とアナンタ、ラドンは竜の試練入り口が王竜の住むフグエン山の麓にあるらしくフグエン山に向かっていた。

村から出るまで、女性達に強く引き留められたが、僕が強くなりたいという意志を尊重してくれて、何とか理解してもらって出発した。


「翔くん、絶対帰ってきてね」


「翔様に何かあったら、私は…」


「翔殿、気を付けていくなり」


「翔、待ってるからな」


「皆、行ってくる。

心配しなくても大丈夫、案内役がいるから無理だったら諦めて帰ってくるから」


精霊達が見当たらなかったが、何処に遊び行っているのだろうと気にも留めなかった。

岩だらけの道のりを、僕は岩から岩に飛ぶようにして移動していくが、アナンタとラドンは自分の翼を広げ僕が付いて行けるよう低空飛行で飛んでいた。

『僕も飛べたら』と考えてしまう、自由に飛び回り空高く飛んでみたい、スキルか魔法で早く覚えたいと…。


30分ほど走っただろうか、フグエン山の麓の断崖絶壁の場所まで来た。

目の前には垂直に伸びる岩の壁、ラドンはその岩の壁に近付き1つの大きな岩、高さ5メートル、幅3メートルほどの岩に手を当てて何か呪文を唱えているようだった。

するとその大きな岩は横へと動きだし、大きな洞窟があらわになった。

洞窟の大きさは塞いでいた岩と変わらないくらいの大きさはあり、奥は暗くてよく確認出来ない。


「翔様、ここが竜の試練入り口でございます。

頂上まで100階層に別れており、階層ごとクリアしながら登っていく迷路になっております」


「迷路ですか、苦手な方なんですが」


「それも踏まえて攻略して頂きます」


「スキルは使ってもいいのですか」


「はい、それはご自身の力なので構いません。

私は戦いに参加しませんが、アナンタと協力して戦って構いませんので」


スキルが使えるなら、何とかなりそうな気がしてきた。

洞窟に入ろうとした時、後ろから『バチバチ』と音が振り返ると精霊達四人が地面に腰を抜かしたような格好で座り込んでいた。


「どうしたんだ」


「ご主人様、入れないです」


「ここには許可された者以外、入れぬように結界がされている。

普通は、ここに近づくことも出来ないのに跡を付けてきたな」


「そうなのか」


「ご主人様~、私達も一緒に行きたいです」


「ダーリン、置いていかないで」


「翔様、残念ながら連れて行くことは出来ません。

それでは試練になりませんので」


「分かっている、ということだ諦めて留守番しててくれ」


「そんなご主人様~」


「置いて行かないで」


精霊達の言葉がずっと聞こえていたが、僕は「ゴメン」と一言だけ言って洞窟へと足を踏み入れた。

入った瞬間、凄く寒気がした。

洞窟内の雰囲気なのか、それとも気温が低いのか分からなかったが洞窟内はとても暗かった為、早速スキル暗視を使い、回りを確認した。

通常の岩や土で出来た洞窟とは違い、溶岩が固まり硬くなって出来た洞窟のように思えた。

所々で光っているのは光石だろうか、回りを薄暗く照らしていた。


「ここからは翔様、アナンタが先頭にお進みください。

私は危ないと思ったら手助けしますので」


「はい、分かりました」


「お兄ちゃん、先に行ってよ」


「アナンタ、それじゃ試練にならないだろう」


ラドンに言われ、一人ブーブー言っていたが先に進むにつれ、アナンタは警戒しているのか大人しくなった。

僕はマップを確認しながら進んでいくと、マップに反応があった。

一匹だけのようだが、アナンタと警戒しつつ近づいていくと、そこにはスケルトン、骸骨がいこつが剣と盾を持って徘徊していた。

レベルは100、かなりレベルが高い、僕の今のレベルは124、精霊達が使えない分互角と思っていいだろう。

アナンタはレベル57、アナンタでは勝てない。

ここは僕が戦うしかないか、そう思った時向こうがこちらに気付き走ってくる。

僕は剣を構え、スキル疾風迅雷を発動する。

スケルトンが剣を振りかぶり襲いかかってくる。

僕は素早く避けようと身構えていたが、予想に反してスケルトンの剣筋が速かった為、僕は剣で受け止めるしかなった。


『カキン』


剣と剣がぶつかり合い、何とか剣を受け止めたが剣の勢いが強すぎて、僕は剣ごと弾き飛ばされた。

更にスケルトンは追い討ちをかける。

僕は飛ばされた勢いで地面に尻餅をついていたが、スケルトンが更に剣を振り下ろしてきたので、尻餅をついたまま剣を受けずに剣で捌いていた。

次から次に振り下ろされる剣を、右へ左へと受け流していた。

スケルトンの攻撃はなかなか止まない、元々が骨だからなのか体力は無限に感じられた。

何とかしないと…、そう思っていた矢先アナンタのブレス攻撃、スケルトンの上半身がブレス攻撃により燃えていたが、スケルトンは気にすることなく、次にアナンタに狙いを定めて向かって行く。

僕は素早く立ち上がり、スケルトンの走り去る背中に目掛け渾身の一撃を与える。


「ウォーー」


僕の放った一撃は肩から真下へ一直線に切り裂いた。

半分になったスケルトンは、その場で立ち止まり半分に裂けていくと同時に霧散し消えていった。

残ったのは聖霊石と銀鉱石だった。


「翔様、一匹に手こずっていてはこれから先、複数出会ったら命に関わりますよ」


「分かってますよ」


今まで精霊達に任せっきりにしてきたツケがやってきたと感じた。

自分自身も強くならないと、これから先精霊達に頼ってばかりいられないだろうし、何より隠密部隊にすら全く動けなかった。

そんな事では、皆を守る事ができないだろう。

ここで力をつけて、誰にも負けない強さを手にいれるんだ。

意志をかためて、次の魔物を探し迷宮を徘徊していた。

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